2009年02月 読書のすゝめ

2009年02月 読書のすゝめ

 先日発足したアメリカのオバマ政権の政策のひとつにアフガニスタンへの兵力増強があります。アメリカは9.11同時多発テロへの報復としてアフガニスタンに侵攻し当時のタリバン政権を崩壊させましたが、いまだに不安定な状況が続いています。アフガニスタンは一人当たりの国内総生産(GDP)が355ドルで、日本の100分の1以下の経済力しかありません。また、15歳以上の人が自分の国の言葉で読み書きができる割合を識字率と言いますが、日本はほぼ100パーセント、全世界では80パーセントであるのに対してアフガニスタンはわずか30パーセントです。これもアフガニスタンの復興が進まない要因のひとつになっていると言えます。
 わが国は江戸時代には全国に寺子屋ができ、幕末期の識字率は男性が80パーセント、女性が20パーセントで、世界の中では群を抜いていました。西欧の人たちが日本の識字率の高さに驚いたことが多くの文献で伝えられています。明治維新から早いペースで西洋文明を吸収し、近代化を成し遂げることができた要因がここにあります。明治5年に福沢諭吉が「学問のすゝめ」を出版してベストセラーになり、最終的には300万部売れたそうです。当時の日本の人口がおおよそ3000万人ですから、10人に1人が読んだことになり、識字率と意識の高さが良く分かります。
 しかし、現在は識字率と本を読む読書率が必ずしもリンクしてはいません。わが国は識字率が100パーセントでも読書率は40パーセントと言われていて、高校生を対象にしたアンケートでは、先進国の中でも自ら進んで本を読もうとしない国のひとつになっているそうです。インターネットなど情報を得る媒体が変化し、容易に情報や娯楽が手に入るので、活字離れが進んでいることが要因と考えられます。便利になる一方でせっかく身につけた読む能力を無駄にしてしまっています。私たちが生活する上で反省しなければならない問題だと思います。
 本を読むことで自分のペースでストーリーを感じ、発想することができます。考える力をつけるためには読書は非常に重要です。手元にある本を開いてみては如何でしょうか?