入社おめでとうございます。富士情報を代表して皆さんの入社を歓迎し、心からお祝い申し上げます。
・道を開く
これから社会人としての一歩を踏み出すにあたり、まず日ごろから心に留めている松下電気(現・パナソニック)の創業者の松下幸之助の「道」という言葉を紹介します。
――自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。自分だけにしか歩めない。二度と歩めないかけがえのないこの道。広いときもある。狭いときもある。上りもあれば下りもある。淡々としたときもあれば、かき分けかき分け汗するときもある。この道が果たして良いのか悪いのか思案に余るときもあろう。慰めを求めたくなるときもあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。諦めろというのではない。いま立っているこの道。いま歩んでいるこの道。ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられているかけがいのないこの道ではないか。他人の道に心を奪われ、思案に暮れて立ちすくんでいても道は少しも開けない。道を開くためにはまず歩まねばならぬ。心を定め懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道のりのように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道が開けてくる。深い喜びも生まれてくる。――
これまでの皆さんは学生としての「道」を与えられてきました。カリキュラムや教科書があって、それを学習することでそれぞれの課程をクリアしてきました。社会人となったこれからは自分で道を切り開いていかなければなりません。皆さんには仕事をお願いすることになります。与えられた仕事を単にこなし、結果を出すだけでは十分ではありません。仕事を内容の濃い意義のあるものにするためには、皆さんの心掛けにかかっていると思います。仕事を通じて自分自身を磨き、人生をより良くしていけると信じています。
これまではまわりの力を借りて少しずつ勉強をしてきましたが、これからは自分自身で勉強して成長しなければならないということを心に刻んで下さい。会社はさまざまな機会や場を提供しますが、それを見過ごさず、チャンスとして生かして欲しいと思います。
会社の中ではこれから先、立場も、仕事の内容も常に変化し続けます。その中で得意な分野もあれば不得意な分野もあるかもしれません。さまざまな状況の中で前向きに自分の力で切り抜けていくことが重要になります。少しでも早く一人前の社会人になり、よい仕事ができるようになって欲しいと思います。
・三つの“3”
私が大学に入学してすぐのオリエンテーションで、教授から非常に印象深い話を聞きました。「3日、3月、3年」の三つの“3”という話です。「3日」はいわゆる三日坊主。「3月」は大学生などに見られる五月病。少し慣れたときに本当にこれでよかったのかと考えるときがあります。「3年」は仕事や職場に慣れてきて一人前の仕事ができるようになると、これでよかったのか、これから先自分がどうして行けばよいのかと悩むときがある。これらの3を乗り越えてこそ初めて真価が問われると言われました。そのときはあまり実感がありませんでしたが、社会人になってこの三つの3がとても重要だと感じました。もう一つ“3”を加えるなら30歳という年齢です。この年になると仕事も一人前以上に出来ますし、すこし余裕が出てきます。さらにまわりの人や後輩に気を配りフォローや指導をする必要があります。それを意識することでその先の道も開けてきます。
・三つのキーワード
それぞれの道を進むに当たって、日頃社員に話をしている三つのキーワードがあります。それは「知る」と「縁」と「感謝」です。
まず自分自身のことを知ることが大切です。また、「知る」に関連して「無知の知」と「足るを知る」いうことばがあります。「無知の知」は自分が知らないことを知るのが大切だということです。「足るを知る」は、それぞれの人が自分なりの満足を知るという意味です。他人と比べて、背伸びをしたり羨むよりも自分なりの幸せを見つめなおしてください。自分の状況を認識することで次のステップが開けると思います。
次に「縁」を大切にしてください。私自身は今の自分があるのは「縁」に支えられてきたと考えています。皆さんが富士情報に入社されたのも「縁」ですし、これから先もいろいろな「縁」があると思います。「縁」はチャンスです。この先皆さんは、いろいろな出会いがあります。その中で自分にとっての「縁」に気付いてください。そして、「縁」を生かしてください。「縁」を生かすためには「縁」を好きになることが一番よい方法だと思います。いまここに居るのは自分が選んだ仕事であり、会社です。仕事を好きになり、会社を好きになっていただきたいと思います。
最後に「感謝」することを忘れないでください。皆さんはこれまでいろいろな人にお世話になってきました。そして、これから先もいろいろな人にお世話になると思います。そのときに必ず感謝の気持ちを言葉で伝えることが大切です。
富士情報は36年の歴史の中で多くのお客様、先輩の「縁」に恵まれてきました。皆さんが富士情報を選んでいただいたことに感謝し、皆さんとともに富士情報の未来への道を切り開いて行きたいと思います。