2010年07月 ゆうパック

2010年07月 ゆうパック

 7月1日に「ゆうパック」と「ペリカン便」が統合しました。統合の結果、報道されているように34万件にものぼる荷物の遅配が発生し大きな問題となりました。この二社は日本を代表する会社で、まじめで優秀な社員で構成されているはずなのに非常に残念な気持ちがしました。報道では準備不足や経営判断等様々なことがらが取り上げられています。確かに表面的な要因は報道されているとおりだと思います。
 この問題に組織の構造改革についてのヒントが隠されていると思い、私なりに考えてみました。一つ目は方向性・情報の周知、徹底。二つ目は個(現場)の自発的な変化への対応(=保守性の排除)です。前者は最低限のことで、経営が責任を持って情報を周知し、組織作りを行い、改革の施策を決定するべきです。改革は既存の組織や業務の延長線上に実現されます。既存業務をある部分は継承したり、また違う部分には新しい方法を取り込んだりしていきます。現場が今までのノウハウを全て出してこそ最適な改革が成り立つと思います。当然、現場への負担は並大抵ではないのですが、改革を実現するか否かはこの点が最も依存すると思います。
 改革を実施するわけですから当然想定外のケースが頻発するはずです。今回の問題の原因は経営から、管理者、現場の意思統一も取れておらず、現場が刻一刻と変わる状況に追従できなかったからではないのでしょうか?
 もしかしたら現場は理解し反応しようとしていたが、管理を含む組織として機能できなかったのかもしれません。その結果、自分の組織、仕事を守る保守的な行動に終始したのかもしれません。組織を変革するようなときには並大抵の労力では実現できません。組織のトップから現場まで同じ目標に向かい、それぞれが自立的に考え、行動して初めて動き出すと思います。
 それぞれの立場で、過去の実績を盾に現業を変化させない理由をひねり出すのは簡単だと思います。しかし、それでは組織が硬直化し、改革の方向に向かって柔軟に変化していくことは非常に困難になります。これでは構造改革どころの話ではなく今回の「ゆうパック」と同様、お客様に多大な迷惑をかけ、信頼を失ってしまいます。会社の存在を危うくするようでは仕事、職場を守ることになりません。
 我々を取り巻く環境を見渡しますと二年前のリーマンショック直後から製造業が大幅な構造改革を行っています。そして、今まさに損保業界の構造改革が始まりました。当社も従来のサービスを維持したまま新しいサービスへと変革しなければなりません。当然、従来の範疇で仕事を考え、反応しているのではお客様から満足を頂くことはできません。より高いサービスとして満足していただくために、それぞれの現場で社員一人ひとりが自分の枠を超えて、考え・変化し富士情報の構造改革を推進していくよう働きかけていきたいと考えています。