2011年06月 組織

2011年06月 組織

 福島第一原発への海水注入に関する報道があり、注入の指示や、注入中断など、経緯を巡って情報が錯そうし、最終的には内閣の信任を問われる事態となりました。原子力発電所の所長には裁量権があり、裁量権の範囲での海水注入だったとのことでした。しかし、我々が目にした報道は、内容が二転三転し、大変な混乱を引き起こしていました。原発の現場と東電の本社、そして政府の間の意思疎通、情報共有が全くできていないことが原因です。
 原発に限らず組織は現場が裁量権を持ち裁量の範囲内で、判断し行動すべきだと考えます。首相をトップに東京電力そして福島原発を一つの組織と見た場合、国民を危機にさらした事件に対する指示、判断、情報共有という面では組織として機能をしていないと言わざるを得ません。
 また、非番中に救命行為を行った救急救命士が停職6か月の処分をされたという報道がありました。この救命士は震災のあと、万が一の際に備えて職場から医薬品などの救命道具を無断で持ち出し常備していました。4月14日に東名高速道路で事故に遭遇し、救急処置を行いました。この救急処置には救急車内で医師の指示が必要な行為も含まれていたそうです。医療行為を行うためには充分な知識と経験が必要です。救急救命士は医療行為を施す立場としては不十分です。
 この救命士の人を助けたいという気持ちは非常に尊重すべきことだと思います。しかし、彼が本来取るべき行動は救命士としてできる限りの処置を行うか、医療行為を行える能力を身に着けるべきであると思います。
 我々は社会、会社で活動していますが、法律などの規則や役職などの立場があり、それぞれの立場に期待される役割があります。決まりや役割を後ろ向きに解釈し、当たり障りのない範囲にとどまるのは、組織としての結果が思うようには出ません。各人が自分の立場と役割をよく理解し、ほかの仲間を互いに補完するよう意識すれば、組織としての実力が発揮できると思います。