2011年07月 ことば

2011年07月 ことば

 先日、松本龍復興担当相が辞任しました。松本元大臣は就任後、「知恵を出さないところは助けない」と言ったり、宮城県知事との面会で「(水産特区)は県でコンセンサス得ろよ。そうしないと我々何もしないぞ。ちゃんとやれ」、「いまあとから入ってきたけど、お客さんが来るときは、自分が入ってきてからお客さんを呼べ。いいか?長幼の序がわかっている自衛隊ならやるぞ。わかった?しっかりやれよ。」といった一連の発言を受けての辞任でした。
 このビデオを見ましたが、非常に嫌な印象が残りました。この報道の後、彼の言動に対して、あれは叱咤激励、偽悪者ぶり、彼はわざと乱暴な言葉を使ったと松本大臣を擁護するようなコメントを見ました。確かに内容だけを理解しようとすれば、筋としては全くの間違いではないとは思います。しかし、あのような場面では不適切だと思いました。
 言葉の語源は「ことのは」で「こと」と「は」から成り立ちます。「こと」は事実の「こと(事)」を表します。「は」は端っこをしめす「は(端)」と葉っぱをしめす「は(葉)」があるそうです。事実(こと)の一部という意味で端の言葉。葉は木の葉のようにたくさんの意味を表し、豊かさをしめすそうです。端を表したり、豊かにしたりと、なかなか事実そのものを表すという訳にはいかないようです。
 身の回りを見渡すと先ほどの松本元大臣のような言葉づかいも、親しみを込めた際に使う場合があります。しかし、相手との距離感、使う場面で与える印象、意味合いが大きく変わってきます。事実も伝わらなくなってしまいます。私も、今の立場でお客様や社員のみなさんと接するときには出来る限り気を付けています。しかし、これまでも失敗や反省をいくつもしています。自分が親しみを込めて発した言葉が傷つけてしまったこともありますし。この場のように不特定の相手を対象とする場合には非常に注意が必要です。気をつけていてもなかなか完璧というわけにはいかないようです。
 事実に関して話をするときは事実の端であることを意識して、気持ちを伝えるときは事実に葉っぱを茂らせるイメージで話したいと思います。