2011年09月 富士山

2011年09月 富士山

 文化庁の文化審議会世界文化遺産特別委員会(五味文彦委員長)が9月1日に開かれ、「武家の古都・鎌倉」と「富士山」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産として推薦することを了承しました。今後、関係省庁連絡会議などを経て政府として推薦を決定し、早ければ2013年夏にも世界遺産に登録されます。富士山は雄大な自然だけでなく、芸術文化など広くにわたり我々の心に深く根づいています。
 富士山は当社にとっても非常につながりが深く、本社の富士吉田市は富士の麓、社名の“富士”情報、そして社内報も“ふじさん”です。世界文化遺産に伴い今後ますます富士山に対する理解が深まることを期待します。
 富士山はご存じの通り噴火でできた山です。10万年前までの小御岳火山。5000年までの古富士火山。5000年前からの新富士火山。このように幾つもの火山が積み重なっています。新富士火山になってからは、781年以降16回の噴火が記録されています。最後の大噴火は1707年の宝永大噴火です。宝永の大噴火の時には江戸にまで降灰があり、江戸でも数cmの灰が積もったそうです。美しく静かに見える富士山も噴火の際には我々の社会に大きな被害をもたらします。富士山は活火山でいつ噴火が起きてもおかしくない状態です。
 今年は3.11の東日本大震災、台風12号、15号と甚大な自然災害がありました。富士山を見るたびに自然の力を再認識したいと考えています。大自然の活動の前では人間は無力です。我々人類はあくまでも自然の一部であり、自然に対する謙虚な気持ちが大切だと思います。災害時にはできる限りの対応を行い、一人でも多くの人が助かるよう願っています。
 災害時に足を引っ張るのは正常性バイアスという心の働きのようです。この働きは、人間が日々の生活を送るなかで生じるさまざまな変化や新しい出来事に、心が過剰に反応し、疲弊しないために必要な働きです。しかし、危機に際した場合この心の働きが避難行動の邪魔をしてしまいます。
 正常性バイアスの弊害を回避するためには普段からの災害に対する備えが大切になります。つまり、危機に際した時の心の切り替えの準備です。非常持ち出し品などの物質的な備えも大事ですが、自分の身の回りの危険をチェックしたり、対応方法を想定する、といった心の備えが一番大事だと思います。自然の災害の発生は防げませんが、心の備えをおこなうことで、危機に際した時により良い危機対応を行うことができると思います。