2011年11月 1/70

2011年11月 1/70

 10月31日に世界の人口が70億人を突破したと、国連が発表しました。日本の人口は2005年に戦後初めて減少し、その後数年はバランスを維持していましたが、2008年からは人口の減少が始まりました。2050年には一億人を切るという予想もあります。現在日本は人口減少とともに高齢化が進行して、今や4人に1人が65歳以上の高齢者であり、高齢者の割合は世界で一番となっています。今後この傾向はますます加速すると予測されています。日本の平均寿命は83歳(男性80歳、女性86歳)*で世界で一番です。しかし、すべての人が元気に天寿を全うするわけではなく、高齢者の6人に1人(485万人)が介護や支援が必要であるといわれています。WHOは日常生活において介護や支援を必要としない年齢を「健康寿命」と定義しました。日本人の健康寿命は76歳(男性73、女性78歳)**であり、平均して7年間は何らかの支援が必要となります。これではせっかく長生きしてももったいないと思います。
 また、老後の生活という観点で考えると、2007年の日本における社会保障給付費は94兆円です。このうち「医療」が29兆円で総額に占める割合は31.5%、「年金」が49兆円で52.7%、「福祉その他」が15兆円で15.9%とのことです。これらの費用は年々増加しており、もっとも割合の多い年金の改革が急がれています。
 社会保障給付費のうち高齢者関係給付費は65兆円となり69.5%にもなります。年金改革以外にも、高齢者に対する医療給付費の抑制、削減も大きな課題となってきます。これらから、老後においては年金改革で年金が削減し、高齢者医療費負担が増えていくことが容易に推測できます。これまで以上に、介護支援を不要とするような生活を心掛ける必要があると思います。
 介護、支援が必要になるきっかけは脳卒中、転倒・骨折、痴呆などといわれています。これらの結果、体や頭を使わなくなり「廃用症候群」となってしまい、徐々に衰弱していってしまうそうです。そのために、日頃から出来る限り積極的に心も体も動かすように心がける必要があります。これらは生活習慣に密接にかかわっており、年を取ってから急に切り替えられるものではありません。若い頃の日常生活の中で食生活、運動などの中で注意し改善していく必要があります。
 具体的には脳卒中などの血管疾患に関してはメタボリックシンドローム、運動器の障害に関してはロコモティブシンドロームという概念で危険度を判定できます。自分自身の健康状態をよく知り少しずつ生活の改善をしていきたいと思います。