最近の報道で、柔道の金メダリストの内柴容疑者、大王製紙の前会長井川容疑者などの事件がありました。我々からみると、彼らは実績、環境など非常に恵まれていると想像できるだけに、「ナゼ?」という印象を持つと思います。彼らは彼らなりの立場で辛いこと、悩みが少なからずあったのだと思いますが、疑問は消えません。これが素直な感想だと思います。このように第三者の目から見ると非常に良く分かります。
漫然と日常を過ごしていると、身の回りの些細なことに一喜一憂し、不平不満を募らせることが多いと思います。日本に住んでいる我々に関してはどうかと疑問がわきます。OECDはホームページでより良い生活の指標(Better Life Index)を公開しています。この指標には収入、仕事、教育、安全など11項目があり、総合的に生活の質を評価するものです。加盟している34ヵ国に対して評価をしていて、日本は収入、教育、安全など生活環境では高い反面、生活の満足度は25位で全体の評価を下げ、総合では19位となっています。加盟国平均では72%が生活に関して満足と答えているのに対し、日本は40%と非常に低い値となっています。日本は生活環境が非常に恵まれているのにもかかわらず満足できない人が非常に多いという事になります。日本以外の国から日本を見た場合、「恵まれているのに何で満足できないのか?」という疑問がわきます。せっかく恵まれている環境が与えられているのに、目先の課題で悩み後ろ向きになり委縮してしまうのではもったいないのです。自分の環境を正しく認識し「前向き」により良い社会・生活へ進めるように考え・行動する方が満足度が増すと思います。
12月12日には日本漢字能力検定協会が清水寺で今年の漢字を発表しました。震災の影響もあり「絆」となりました。「絆」は「人と人のつながり」というイメージとして理解していますが、語源は騎綱(きづな)で、馬などを綱で縛ることを指すそうです。離れられない非常に強い結びつきを意味します。「絆」は何か災いがあった際に認識することが多いかもしれません。我々も生まれた場所、血縁、会社、社会、国などいろいろな「絆」で束縛されています。このような「絆(=束縛)」があって、はじめて権利や自由があり、都合の良い時だけ権利や自由があるわけではありません。間違った認識をせず、しっかり自分の環境(きづな)を認識してはじめて、意味のある判断・行動が可能となるのだと思います。
今年は非常に多くの出来事があり、厳しい環境でしたがお客様、社員の皆さんのおかげで無事終えることが出来ました。来年を着実によりよくするため、一人ひとり「絆」を見つめなおす機会にしていただきたいと考えています。