2012年08月 ロンドンオリンピック

2012年08月 ロンドンオリンピック

 19日間にわたったロンドンオリンピックが終わりました。今回の大会は2004年アテネオリンピックの37個を上回る史上最多38個のメダルを獲得しました。ボクシング、サッカー、フェンシング、卓球等々、史上初や数十年ぶりといった活躍が多く、大変盛り上がりました。
 メダルの獲得内容から日本のスポーツを取り巻く環境を考えてみました。
 まずは金メダルの数です。今回の金メダルの数は7つとアテネの16個から比べると半数以下になっています。アテネの時には柔道が全体の半分の8個の金メダルを獲得していました。ロンドンではレスリングが4つ、ボクシング、柔道、体操が一つずつの計7個の獲得となりました。一方で、銀メダル14個、銅メダル17個の獲得数はそれぞれ史上最多となります。
 また、ペアや団体での活躍が目立ちました、ペアや団体のメダルは今回9つ獲得し、アテネの7つを上回っています。アテネの際には今は種目にない野球、ソフトボールでもメダルを獲得していましたので、団体種目が非常に頑張っているといえます。また、体操の内村選手や競泳の北島康介選手が、個人種目以上に団体でのメダルにこだわっていたのが非常に印象的でした。
 多くのメダリストたちが獲得後のインタビューで、メダルの色に関係なく「うれしい」「周りの人に感謝したい」「これまで頑張ってきて良かった」などの謙虚な気持ちで喜びを表現していました。これらは「オリンピックは参加することに意義がある」と言ったオリンピック創設者クーベルタンの理想に近いと感じました。また、オリンピニズムの根本原則の中に「スポーツを行うことは人権の一つである。」という一節があります。選手たちはスポーツする権利を得て、オリンピックに参加するまでの過程で繰り返し努力を惜しまず、競技者として、人間として成長しました。そして、オリンピックをよい機会と考え、大いに実力を発揮したのだから言える言葉なのだと思います。選手のインタビューやメダルの色、種目などから日本がメダル獲得だけの特別チームでの取り組みではなく、裾野の広い文化としてスポーツを熟成し、成果を出したのだと信じています。
 我々の権利はスポーツをすることだけではありません、働く権利もあります。仕事では日々成果(製品)を出し、社会に直接貢献し、お客様から対価(お金)を頂戴しています。スポーツほど直接的な喜びは少ないかもしれませんが、非常に価値のある行為です。我々は仕事を通じ社会への貢献と、自己成長の機会を持っています。この機会を生かすべく日々成長してもらいたいと考えています。