今年当社は創立40周年を迎えます。これまでを振り返ると20年の節目で大きな変化がありました。平成5年には富士計算センターから富士情報へ変わりました。40周年が大きな進化の転機となる様に期待して今年の指針を「深化・新価」としました。
情報サービスという業界に関してはインフラの普及や、技術のコモディティ化などがますます進み、これまで以上に差別化が必要となります。そこで当社ならではの特色を出していく「進化」が必要になります。お客様から依頼された仕事を素早く、正確にこなすことは当然ですが、プラスアルファがより重要となります。
体操の内村選手がロンドンオリンピックを振り返って話をしていました。彼は通常の試合では普段通りの演技をしていれば結果(優勝)がついてきていたのに、ロンドンオリンピックでは明らかに金メダルを取りに行ったそうです。その結果普段の演技ができず、団体総合の鉄棒や鞍馬で落下するなどの大きなミスを犯してしまいました。目先の結果(利益)を追い求めてうまくいかないのは、あらゆることに共通すると考えています。当社を取り巻く環境はまさに真価を問われる状況であると言えます。進化についても、変わること自体は目的ではありません。課題の本質的な理解が、最適な変化を着実に実現につながると考えています。
まずは我々が携わっている仕事についての深い理解、「深化」が必要になります。この仕事は「誰のためなのか」「何のためにあるのか」、「どのような価値が求められているのか」など様々な観点で考え、理解することが必要です。当事者の視点、会社の視点、お客様の視点などで注意深く考えてみてください。特にお客様の視点は重要です。お客様の視点を考える際に気を付けるべきは、日頃頂戴している評価を妄信してはいけないという点です。良い点、分かりやすい点、当たり障りのない点は言いやすいのでよく口にして頂けるのだと思います。しかしよほどひどい場合を除いては、悪い点、分かりにくい点、苦言などは口にしません。また、お客様ご自身も全てを論理的に認識しているとは限りません、暗黙的にしか理解できておらず本質的な課題を認識できていないこともあると思います。このように伝えられない事実、暗黙的な事実に迫ることが非常に重要です。
本質を理解できれば、現状との違いから目指すべき方向、すべきことが明確になります。当社で携わっている仕事はすべて人が介在しなければなりません。判断、知恵が必要な要素があるはずです。その要素の中で「深化」に伴い知恵を出し、新たな価値を創っていってください。昨年話題となったiPS細胞の発明のような飛躍的な新しい価値はそう簡単には実現できません。しかし、日頃の少しの積み重ねが大きな価値を生み出します。新しい価値は身の回りの要素の組み合わせや、順序を変えることでも実現が可能です。
帝国ホテルのバーでは二杯目のグラスを置く際に、一杯目のグラスの位置を覚えておき、同じ場所に置くそうです。お客様にとっては理由は分からないけれども居心地がいいそうです。