昨年11月に公務員退職金削減法が成立し、この3月から適用されます。退職金が引き下げられるよりも前に退職すればより多くのお金を手に入れられるということで、公務員の駆け込み退職が問題となっています。総務省によると3月5日の時点で定年退職者の7.5%になる1880人の公務員が早期退職したそうです。けしからんという意見と、公務員も人でありやむを得ない、ましてや早くやめた方が得をする制度自体がおかしいなど、様々な意見が見られます。
そもそも、今回の法案は長引く不況の下、官民の格差が広がり、この格差を解消する目的で成立しています。公務員は既に十分恵まれています。また、今回の法律を含め、100%合理的で誰から見ても平等であるような制度はありえません。制度、規則は運用する人の良心に大きく依存します。公務員は民間に比べれば安定しており、立場も保障されているため、仕事、役割に対してはより高いモラルが要求されます。しかし今回の駆け込み退職の報道を見てみると、モラルが非常に低いと感じています。特に学校では卒業式、進級、進学と一年のなかで一番大切な時期です。教え子や同僚への影響を考えると、理解に苦しみます。今回は顕著な例でしたが、このように身の回りの非合理的な問題への対応の際に人間性が良く表れると思います。
会社においても規則、制度が制定されており、これらにのっとり運用しています。皆さんの負担を最小とし、良心的な協力を前提として運用しています。もしも、制度、規則の隙間を利用するようなことがあれば、厳しい内容とせざるを得なくなります。その結果、仕事の進め方や組織が硬直化してしまいます。当社の仕事は一人ひとりが自分の仕事の意義を理解し発展的にレベルを上げていく必要があります。皆さんの協力を得ながらこれまで通り最小限の制度で運用していきたいと考えています。