東京オリンピック招致のプレゼンテーションで、瀧川クリステルさんが日本の「おもてなし」をアピールして話題になりました。本社のある富士吉田市でも「おもてな市」というキャンペーンがあります。
瀧川クリステルさんは「おもてなし」について「それは見返りを求めないホスピタリティの精神、それは先祖代々受け継がれながら、日本の超現代的な文化にも深く根付いています。」と言いました。私たちにとって「おもてなし」は特筆するようなことではありませんが、外から見ると非常に素晴らしいことと理解できます。
「もてなし」の意味を調べてみると、客を取り扱うこと、食事などのごちそう、身に備わったものごし、身のこなし、などごく普通の内容が並びます。語源を調べると「モノを持って成し遂げる」というそうです。「モノ」には目に見える「モノ」と、目に見えない「コト」があります。
一方、英語ではホスピタリティが「おもてなし」に近いようです。巡礼者を向かい入れたことが始まりで、現在のホテル、病院(ホスピタル)につながります。
人への応対に関して段階的に考えると、反応型、定型、先回り、新価値となると考えています。「反応型」は言われたことのみ反応します。当然、すべてのことを言ってもらえるわけではなく、期待以下となってしまいます。「定型」は、マニュアルなど決まった単なるサービスの提供となります。サービスの内容が決まっている訳ですので期待通りとなります。「先回り」は、相手の気持ちを酌んで先回りしたサービスの提供になります。受ける側は心地よさを感じ、期待を上回ります。ホスピタリティのレベルといえます。最後の「新価値」ですが相手の期待している範囲を超えて、一歩踏み込み新しい価値を共に創造するレベルになります。これが「おもてなし」の神髄と言えます。茶道では「モノ」を可能な限りシンプルにし「コト」を追求することで「おもてなし」を追求していて、「茶道とはおもてなしの心です」と言われています。
我々の「おもてなし」には、自分たちでは気づかないこれらの心が入っていて、今回のプレゼンでのアピールにつながったのだと思います。目には見えない「コト」ですが、非常に貴重な文化だと思いますので、少しでも自覚をしつつより高いレベルで人と関われるようにしていきたいと考えています。