2013年11月 偽装表示

2013年11月 偽装表示

 10月22日に阪急阪神ホテルでのメニュー偽装表示事件が発覚しました。その後有名ホテル、百貨店でも相次いで同様の問題が発覚しました。これらの問題は単なる業界の体質に限ったことではないと思います。
 我々を取り巻く環境はコンピュータの発達、通信インフラの整備でこの20年で飛躍的に便利になりました。だれもがどこでもインターネット経由で商品をはじめ、情報やコンテンツなど様々なものが簡単に手に入るようになりました。いまや新しい技術の恩恵なしには生活ができません。仕事の上でも同様に大きく変化し、高効率化、品質向上に寄与しており、積極的に活用しなければなりません。
 非常に便利ですが、非常に危険でもあります。表面的な便利さだけに甘んじるだけではなく、危険を理解し、使って初めて使いこなしたことになります。
 今回の問題ではこれらの環境の変化が背景にあると思います。食材を手配する現場では、様々な食材が簡単に手に入るようになっていたのだと思います。従来であれば問屋、仲買人など多くの人を介在していましたが、環境の発展によりコスト、効率の面で飛躍的な変化が起きていたはずです。似たような商品がいくつもリストに上がり「わからなければ良い」といった安易に偽装に手が出る素地が広がり、「お宅はそんなことやって良いの?」という第三者からのチェックの目も減り、多くのホテル、レストランが環境の変化に伴い必然的に今回の問題を引き起こしてしまったのだと思います。
 環境がどんどん変化し、我々の生活・仕事が便利になると同時に、知らないうちに様々なリスクに取り囲まれるようになっています。次々に問題を発表したのも、情報が残り、どこからでも告発が可能な現在ならではの判断です。現場も急に倫理観が悪化したのではなく、逆に従来の感覚のまま良かれと思い取った行動なのだと思います。
 これまでは社会、業界、組織に根付いた倫理観、慣習が我々の無意識のうちに仕事、生活を支えてきました。一人ひとりの考え方、行動が直接、多くの人と接点を持つようになっています。
 便利さと引き換えに、これまで以上に一人ひとりの考え方が非常に重要になってきます。仕事においても、我々の成果を受け取る方が、実際に現場で我々の仕事ぶりを見て満足いただけるよう心がけることが一番大事だと思います。