2014年12月 タカタ

2014年12月 タカタ

 タカタのエアバッグ不具合によるリコールが報道されています。タカタはエアバッグの製造に早くから携わり業界2位で20%のシェアを持ちホンダをはじめアメリカ車、ドイツ車など多くのメーカーに採用されています。11月時点でのリコール対象車は多くのメーカに及び1700万台とも言われています。
 エアバッグの不具合が最初に認識されたのは2005年とのことですが、今だ原因が究明できておらず、原因究明のための調査リコールという異例の事態となっています。タカタは昔からシートベルトの製造で有名ですが、シートベルトにおいても業界2位、20%のシェアを誇り、車の乗員安全機器のメーカーとして広く認知されています。タカタのHPでの会社説明にも「創業以来安全を考え続けてきました」とあるように安全を最優先に考え成長を継続してきた企業です。タカタのことを少しでも知っている人であれば、上記のリコール問題が長引いている点に違和感を感じると思います。
 先日のアメリカ議会の公聴会でもタカタに対して非常に厳しい追及がなされ、全米リコールを迫る場面もありました。そもそもタカタは一部品メーカーにすぎず、消費者に対しては自動車メーカーがリコールを含め直接責任を取るべきです。多くの自動車メーカに関連し、原因究明の遅れなどで問題が長引いている状況での追及だったのだと思います。公聴会でのタカタの清水氏の発言でも部品メーカーという立場に徹していて、自動車メーカーに対する配慮を感じました。リコールの原因も特定工場の品質管理、多湿地域に集中する使用状況など、一部品メーカーでは究明が難しいため今回の問題においては一層自動車メーカーの主体的な対応が必要だったのだと思います。
 一般に部品メーカーは製造(自動車)メーカーの指定したスペック(安全基準)に従い製品を設計し、製造しています。自動車メーカーは部品を受け入れる際に再度品質の検査を行い、合格したうえで採用します。また、定期的に抜き打ちチェックをするはずです。問題が発生した際にも前面に立ち問題の究明、対応を行います。エアバッグのように特殊な装置で、タカタのようにシェアが高く、品質に定評のある部品メーカーだったため、タカタを過信しすぎていたのだと思います。いつの間にかタカタに大きく依存する割合が大きくなり、いざ品質問題が発生した時にもタカタだけが問題を抱え込み、自動車メーカー側でノウハウが蓄積されておらず責任ある対応が遅れてしまったのだと想像しています。
 我々の仕事においても一人で完結する仕事はありません。必ず他の人、組織と連携を取りながら一つの仕事を創り上げます。同じ関係(取引)を続けていると、暗黙的なノウハウが蓄積し効率が上がってきます。初めは慎重に対応した仕事でも時間とともに慣れが出てきます。環境が変わったりして品質を一定に保つことは容易ではありません。同じ仕事を続ける際にも常に初めての仕事という意識を持ち振り返り、互いの役割と責任を明確にし、ノウハウを共有することが継続的な品質の維持向上につながるのだと思います。