2014年02月 省

2014年02月 省

 先日テレビで“抱きしめたい~真実の物語~”の本人のドキュメントを放送していました。若いとき事故に会い半身麻痺と記憶障害になった女性と、その後結婚することになった男性、そして出産、直後の死という非常に気の毒な話です。気の毒に思うと同時に、自分がとても恵まれていると感じました。このような感情を持つと、いつもこの謙虚な気持ちをずっと持ち続けられたらどんなに良いだろうと思うと同時に歯がゆさを感じます。
 我々の生活は前の世代の人から比べても、世界のほかの国から比べても安全面、衛生面など非常に恵まれていて、その実情を見れば不平不満を言えるはずがないと思います。日々恵まれた環境に感謝して謙虚に前向きに、周囲に対して慈しみをもって生活すべきです。
 しかし日常に戻ると、人と比べてあれが足りない、これが欲しい、ないものねだりがはじまり、わがままな自分が主役になってしまいます。人間は「言い訳を考える天才」とよく言われます。欲しい理由、必要な理由はいくらでも出てきます。
 一人ひとりの置かれている環境は違いますし、全てが自分の思うとおりになるわけではないと頭でわかっていても、なかなか抑えられない感情です。しかし、これらの欲があったからこそ、社会を形成し厳しい時代を生き抜き、現在の豊かな生活があることも事実です。欲が無く謙虚すぎても進歩が望めませんし、欲が強く権利を主張し過ぎても周りがぎくしゃくしてしまいます。
 今の恵まれた時代に合った、謙虚さと、欲のバランスが必要だと思います。
 昔は色々な行事(節分、夏祭り、節句)があって、つい目先のことに振り回されてしまう日常を反省する機会がありました。今は非常に少なくなってしまっています。一人ひとりが日常の中で、あるいは折に触れて振り返る時間を積極的に持つことが重要だと思います。