2014年06月 社会保障

2014年06月 社会保障

 6月3日に厚生労働省が100年間にわたる公的年金財政状況の見通しを公表しました。経済が順調に成長した場合には30年後でも現役世代の収入に対する支給額の割合(所得代替率)が法律で定めた下限の50%を上回るとしています。これは、現在の62.7%という所得代替率に対して2割程度低下することを意味します。将来的に年金財政が非常に厳しく、年金に頼るだけでなく今から少しでも備えが必要であることが良くわかります。
 年金以外にも社会保障費には主に、医療、介護があります。厚生労働省が平成24年に発表した「社会保障に係る費用の将来推計の改定について」という報告書には、2011年度の実績をもとに2015年の見通しを試算しています。社会保障費全体では2011年度の108.1兆円が2015年度には146.8兆円となり1.36倍となります。内訳を見ますと、前出の年金は53.8兆円が60.4兆円となり1.1倍、医療では35.1兆円が54.0兆円となり1.53倍、介護は8.4兆円が19.8兆円となり2.35倍となります。40兆円の増加となり、消費税1%が約2兆円に相当しますので、消費税でいえば20%の負担が必要となります。当然これから10年程の間に政府は財源確保の対応をすると思いますが、40兆円の財源は非常に大きな負担となります。これらの状況から特に増加する医療、介護の分野での政府からの支出の抑制が行われてくると思います。
 我々現役世代に身近な医療についてみてみます。2011年度の医療費は35.1兆円程度になります。これは前年(2010年)に対して1.2兆円(3.1%)の増加となりました。高齢化が進んだうえ、医療技術が進歩して治療費が膨らんだのが主な原因とのことです。年齢別の内訳は65歳未満が17.1兆円で一人当たり17.5万円、65歳以上が21.4兆円で一人当たり72.1万円です。65歳未満で一番多い疾患の新生物(ガン)が1.5兆円で12.8%、65歳以上になると循環器系の疾患が最多で4.4兆円で27.4%です。我々現役世代はガンのリスクが一番多いようです。対策としては予防と、公的保険以外の私的保険の備えが必要になります。いくら長生きしても不健康では生活の質(Quality of Life)が低下してしまいます。
 国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがガンの予防法を公表しており、喫煙、飲酒、食事、運動、体型、感染などの項目について注意点を説明しています。これらは、生活習慣を節制し規律正しくすることを意味し、ガンに有効なだけでなく他の疾病の予防にもつながります。すべてが100点満点にならなくても、出来ることから対策をしていきたいと思います。