サッカーワールドカップがブラジルで開催されました。日本代表の試合後、スタジアムを清掃する日本人サポーターの姿が報道されました。第2試合目のギリシア戦の後ではブラジル人のサポーターも、日本人に習いゴミ拾いに参加するなど、反響が広まりました。我々の倫理観や実直さは世界的に見ても非常に際立っており、東日本大震災での行動をはじめ、様々な場面で大いに評価されています。私自身も色々な国の人と仕事をしましたが、非常に貴重な長所だと感じています。私たちは過去に良いと認識した知識、常識を共有し実践することに非常に優れています。しかし、一度良いと認識してしまったことに関しては盲信してしまい、本質を見失い愚直に続けてしまっている可能性もあります。
例えば先日の東京都議会での女性議員に対する蔑視のヤジに関しても似たような原因があるのかもしれません。確かに、以前は男性社会で女性は早く結婚して家庭に入るといった考えの方が多く、そのような考えで組織、社会を運営していたメリットもありました。しかし、今は事情が異なり、少子高齢化という大きな社会問題があり、そのような状況での発言であり非常に残念です。
我々の身近な例を上げると。ダイエットは急激な食事制限だけでは体力、免疫力の低下を伴い健康に悪影響を与えます。本質的には運動を行いカロリー消費をしつつ緩やかな食事制限をするべきです。
進学では有名な大学、難関大学に入ることを目的としてしまいがちですが、本質的には大学の中で何を学ぶかが重要です。学問を収めるのは当然ながら、学生時代に多くの挑戦・切磋琢磨し、より豊かな人間性を醸成すべきです。就職に関しては有名企業に入れば安泰という考えがあります。最近のソニー、パナソニックの例を挙げるまでもなく、良い状態を継続するためには常に進化、変化が必要であり、一時的な良いところだけ見て集まった集団ではなかなか革新し続けるのは困難です。ブランドだけでは何も生み出しません。
当社の仕事に関して言えば、エントリーでミスが発生した時には再ベリファイ、リストチェック、プログラムの論理チェックといくつかの対策を行うことがあります。しかし、本質的にはオペレータの皆さんが入力仕様を周知し、個々のレベルの向上に努め組織的な品質向上を実現しなくてはなりません。システム部門では現場主義、経験的な能力開発に重きが置かれがちです。実務レベルの向上は当然ながら、資格取得等の広範な知識を得ることによって、経験で得られた実力を一般的、組織的なノウハウとして展開でき、経験を超える実力を身に着けることが可能になります。組織のリーダーに関しては強権的(権威主義)な強いリーダーシップで一時的に生産性を高めることは可能です。ただし、リーダー一人の能力には限界がありますし、長期的にはメンバーが考えることをやめ、組織の硬直化を招きます。組織の一人ひとりの良いところを最大限に伸ばすようなリーダーシップが長期的に柔軟かつ発展的な組織を作ることが出来ます。一見効果があることが、長期的にはマイナスに働き、効果がすぐでないことが長期的にはプラスに働くことがあります。安きに流されることなく、本質を問い続けていきたいと考えています。
ブラジルではゴミ拾いを評価されましたが、本質的にはごみを捨てないのが一番ですし、私たちの身の回りには拾うごみはないはずです。