2015年01月 選択的創造

2015年01月 選択的創造

 明けましておめでとうございます。
 2014年は環境が目まぐるしく変化し、各部門ともに近年にない課題に直面し「人事超革」を実践してきました。先が見えず、予想外の事柄もあり、多くの苦労を重ねてきていますが、結果に結びつけるのが非常に難しい年であったと実感しています。各部門の力は着実に向上していますので、結果に結び付けていく段階と認識しています。
 2015年は取り巻く環境も明確になります。課題もこれまで以上に具体的かつ、中長期的な視点で考えられるようになってきます。長い視点でみますと、我々を取り巻く環境はこれまでも、これからも大いに変化し続けます。このような環境の下で我々の価値を高くし続けるよう指針を「選択的創造」としました。
 創造はオーストリアの経済学者シュンペーターが1911年に「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合する」ことと定義しました。また1995年にクリステンセンは「イノベーションのジレンマ」という本の中で、従来の持続的創造に対して破壊的創造という概念を提唱しました。伝統があり、実力がある組織、企業が合理的な持続的創造を継続するがゆえに、新たな潮流、つまり破壊的創造への対応ができなくなり、その結果淘汰されてしまっています。デジタルカメラ、コンピュータ、HDDなどが良く取り上げられていますが、身近な例でいえばスマートフォンが該当します。携帯電話(ガラケー)の全盛期は国内のメーカーの独壇場でした。各社独自の技術を開発し差別化を図ってきました。しかし、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンのオープンなプラットフォームが開発され、アプリケーション開発が容易になったおかげで多くの便利なアプリケーションを手軽に扱えるようになりました。
 我々の事業領域では自ら最先端の創造をリードし、しのぎを削るような競合を強いられている訳ではありません。我々のような大部分の立場においては伝統的な価値を持ち続け、新たな価値を組み合わせながら、常に変化し続け高い価値を維持する必要があります。つまり、創造を活用する側の立場として持続的創造に加え破壊的創造を見極め取り入れ、進化していく、これを選択的創造としました。創造を享受する組織や社会にとっては創造そのものも重要ですが、いかに創造を選択し進化するかが最も重要です。
 我々の祖先は1万年ほど前に狩猟採集生活から農業へ生活スタイルを変えました。今の感覚では家庭菜園など容易に始められると思いがちですが、最初は種の選定から始まり、時期、育成方法など試行錯誤をしながら、数千年をかけて農業主体の生活を確立しました。農業が確立したのち農業に触れた狩猟採集の人たちも、農業を取り入れたり、取り入れるための労力を捻出することが難しかったりなどがあるようです。