アメリカのタイム誌が、毎年独自に選出している「世界で最も影響力のある100人の人物」の2015年版が公開されました。日本からは、村上春樹さんと近藤麻理恵さんの2名が選ばれました。近藤さんは「人生がときめく片づけの魔法」シリーズの著者で、「片づけコンサルタント」として活動されています。「コンドウする」という単語は片づけを意味する英語としても普及しました。
近藤さんが片づけの仕事を始めたのは大学生の時です。最初の頃は「これ必要ですか?」という聞き方をしていました。これだとなかなか捨てられない。あるとき「それってときめきますか?」という聞き方をした時に「ときめくかって言ったらときめかないよね」といってすぐ手放すことができたそうです。それ以来近藤さんは「ときめき」をキーワードにしています。テレビで紹介されていた人は洋服が1/3になっていました。「ときめかない」洋服も暫くの間は置いておき「いままでありがとう」と言いながら処分するのだそうです。近藤さんが実践している「人生がときめく片づけの魔法」は単なる片づけではなく、タイトルにあるとおり片づけを通してその人の人生を見つめなおし、自分自身の本質や自分自身にとって本当に大事なものを再認識するため、評価が非常に高いのだと思います。
我々が集める(収集する)本能を持っているのは、いつ食料にありつけるのかわからないような、非常に厳しい時代を生き抜いてきた結果得られた大切な本能です。かつてマータイさんが世界に広めた「もったいない」も我々の貴重な文化の一つです。
今は物質的に豊かになり、比較的手軽にいろいろなものが手に入ります。ところが日常では生き抜くために必要な集める本能が勝り、いつ使うのか分からないものまで、ためこんでしまいます。いったん自分の所有物になってしまうと、不必要というレッテルを張ることは難しくなってしまいます。その結果、身の回りにはモノがあふれかえり、本当に必要なもの、大切なモノが何なのかが分からなくなってしまっているのだと思います。近藤さんは不必要なものではなく、本当に大切なモノを「ときめき」というキーワードで絞り込んでいて、この手法が豊かな時代に合っているのだと思います。
我々はモノを管理する能力、場所、そして時間など物理的な限界があります。この限界の中に如何に大切なモノを絞り込むかが重要だと思います。ある時間生活していれば、人間関係やモノが時間に伴ってあれもこれも増え続けてしまい、すぐに自分の物理限界や管理能力を超えてしまいます。仕事においても「器用貧乏」、何でも引き受けてしまい凄く忙しいが価値の高い仕事ができなくなってしまうという状況にもつながってしまいます。これからの時代で我々にとっては重要なのは収集する本能以上に選択するという能力なのだと思います。
以前当社の社員がお客様先で「なんでもやりますので仕事をください」と言ったことがあるそうです、その時お客様は「なんでもできるってことは、何もできないと同じことですよ。」と応じたそうです。今、当社は「究極の情報サービス」を目指しています、より多くのお客様に「我々の情報サービスなら良くわかっている富士情報におまかせ」と言っていただけるようになりたいと考えています。