今年は年明け早々大きなニュースが沢山ありました。軽井沢スキーバス転落事故では15名もの尊い命が奪われ、過去30年で最悪の事故になってしまいました。また廃棄食品横流しは日頃よく目にする企業に関係していて食の安全を根底から覆すような事件です。これら一見全く関係性のない事件・事故ですが、共通の背景があるように思います。
我々を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。情報化、ネットワークなどの技術面での拡充、グローバル化、規制緩和、TPPなど規制面での自由化は我々の生活を大きく変えています。商品、サービスの流れが柔軟に効率よく構築できるようになってきています。しかし、新しい流れの中に悪意を持った業者、実力が不足している業者が入り込む余地が発生し、今回の様な事件・事故につながったのだと思います。従来、信頼のある事業者は時間をかけ他の事業者と信頼を築き、商流を構築していて、悪意を持った業者、実力の無い業者の入り込む余地はありませんでした。いわば信頼のネットワークが充実していました。しかし、上記の背景に伴う競争の激化で商流にスキがでてしまい信頼のネットワークに綻びが出たのだと思います。
今回のバスの事故を受け、国土交通省はバスの街頭検査、中小事業者の抜き打ち検査、経験不足の運転手に対する指導要請など対応を行ってきました。規制の強化で今回同様の問題は押さえ込めます。しかし、本質的な解決をしなければ、また違う脆弱なところで問題が発生してしまいます。すべてを予知し先回りして規制するわけにはいかず、非常に悩ましい問題です。かといって、以前の不便な時代に戻るわけにもいきません。
廃棄食品横流し事件は、ココイチの社員がスーパーで発見し通報したことが発覚のきっかけとなりました。多くの会社は社会的責任に重きを置いていますが、我々消費者の良識ある監視の目は重要な抑止力になると思います。我々事業者としても新しい流れを取り入れつつ、良きパートナーと信頼のネットワークを維持・発展するように心掛けていかなければなりません。
新しい流れには新しいで観点・技術が必要です。最近は街頭の監視カメラが事件の解決に役立っています。今年からマイナンバーの運用が開始されました。お金の流れがより透明になることで、堅牢な信頼のネットワークを実現する日が来るかも知れません。