7月の完全失業率が3.0%だったと総務省が発表しました。これは21年2か月ぶりの低水準だそうです。また、厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.37倍となり、24年10か月ぶりの高水準となった6月から横ばいだったそうです。このような高水準の求人倍率にも関わらず、以前のような好景気、バブル景気の実感がなく非常に不思議な感覚です。求人倍率がこれほど高くなったのは、昭和48年の1.76倍と平成2年の1.40倍でした。昭和48年の時には「高度経済成長」が終わり、平成2年の時には「平成バブル」が崩壊し不況へ突入し、いずれもその後には長い間の景気低迷がありました。
求人倍率の地域差を見ますと最高は東京都の2.04倍、最低は埼玉県と鹿児島県の1.03倍だそうです。東京近郊では多い順に東京都2.04倍、山梨県1.22倍、千葉県1.19倍、神奈川県1.07倍、埼玉県1.03倍となります。東京近郊でも東京の一極集中になっているのがよくわかります。
職業別にみますと、建設・採掘の職業3.19倍、サービスの職業が2.87倍、専門的・技術的職業が1.85倍と高くなっています。サービスには介護、保健医療、接客・給仕、飲食物調理などが含まれいずれも高い求人倍率となっています。また、専門的・技術的職業では医師、薬剤師が5.78倍、建築・土木・測量が4.31倍と高く、情報処理・通信技術者も2.32倍と高い水準となっています。一方、事務的な職業は0.37倍と求職者過多になっています。
よく言われる建築や、医療、介護、飲食サービスの人材難が浮き彫りとなり、これらを合理化等で補うためのIT技術者にも波及しています。日本の政治家がダボス会議でインドの政治家に人材難をうらやましいといわれたそうです。人口が増大するインドでは新しい技術を導入し合理化したくても人々の職を維持するためになかなか難しいとのことです。
先日政府は安倍首相を議長とする「未来投資会議」を開きました。この会議では、人口知能、ドローンなど新しい技術を活用しGDP600兆円の実現や建築業の生産性を2025年に20%向上するよう目指すそうです。
このように求人難となれば、経済成長は難しくなり、合理化への圧力が高まります。従来は単純な事務作業、力作業が、コンピュータ、機械にとって代わられてきました、これからは人工知能、ロボットなどが様々なシーンで実用化されてきます。リーマンショック後には”雇用なき経済回復”といわれ、これまで人間が携わってきた仕事が加速度的にロボットなどに代替されています。野村総研が今年発表した研究結果では、2030年には日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能になると言っています。
高度な仕事であっても安泰ではありません。数値化しにくいノウハウが多い仕事、熟練が要求される仕事が生き残ることになります。我々の携わっている仕事も当然熟練を要求されます、これからも一層究めてより価値の高い仕事としてお客様、社会に認めていただくようにしていきたいと考えています。