入社おめでとうございます。富士情報を代表して皆さんを歓迎するとともに、心からお祝い申し上げます。
現在我々を取り巻く環境は劇的に変化しています。グローバル化、AIやロボットのような新しい技術などにより仕事の質が変わり、今後ますます加速していきます。当社はこのような環境の下で将来も価値のある仕事をお客様に提供し続けることを目標としており、「究極の情報サービス」の実現を心がけています。そのためにはお客様の仕事をよく知り、形式知だけではなくお客様のもつノウハウや文化などの暗黙知を深く理解し質の高いサービスを創る必要があります。皆さんには「究極の情報サービス」を目指し仕事を通じて成長してもらいたいと考えています。仕事に対して好奇心をもって、どこに成長できる要素があるか、質を高められることができるかをよく考え実践してください。
皆さんは社会人となりましたが、憲法には国民の義務を3つ定めています。一言でいうと「働いて税金を納めなさい。」ということです。具体的には教育の義務(26条2項)、勤労の義務(27条1項)、納税の義務(30条)。教育の義務は一定修了しましたのでこれからは、勤労し納税の義務を果たしていくことになります。
皆さんには仕事を通じ価値を生み出し、大いに成長してもらいたいと期待しています。成長に大切な「自立」「知」「態度」の3つの考え方について話をします。
「自立」
福沢諭吉は「学問のススメ」の中で「個人の独立があって国も独立する」と述べています。会社も同様で社員一人ひとりが仕事に対して、自分で考え行動しなければなりません。哲学者のカントは「ほとんどの人間は、自然においてはすでに成年に達していて(自然による成年)、他人の指導を求める年齢ではなくなっているというのに、死ぬまで他人の指示を仰ぎたいと思っているのである。その原因は人間の怠慢と臆病にある。というのも、未成年の状態にとどまっているのは、なんとも楽なことだからだ。未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができないということである。人間が未成年の状態にあるのは、理性がないからではなく、他人の指示を仰がないと、自分の理性を使う決意も勇気も持てないからなのだ。だから人間はみずからの責任において、未成年の状態にとどまっていることになる。」と言っております。自立するのは難しく勇気も決意もなく他律に陥りやすいものです。皆さんは年齢的にも能力的にも成年に達しています。積極的に自分の頭で考え、行動するよう心がけてください。
「知」
アリストテレスは「すべて人間は、知ることを楽しむことを求めることが本性なり。彼らが見聞を好むのは、その象徴なり。実際の役に立たなくとも、見聞はただ見聞として愛好されるからなり。すべて人間は生まれながらにして知ることを欲する。」と言っています。また論語では「論語読みの論語知らず」とも言っており、我々は知るという欲求をもっていますが単に知識を得るだけではなく、有用な知識、知恵を活用して初めて質の高い仕事、一人ひとりの成長につながります。学生生活では履修すべきカリキュラムが決められ、一定の水準をクリアすることで単位を取得できました。いわば受け身の態度が主体でした。仕事においては決められた水準をクリアすることは最低限、プラスアルファ、つまり能動的な態度による付加価値が評価につながります。習得には何段階もあり、学校で学んだ時の「分かった」、テストで点を取った時の「出来た」「覚えている」まではこれまで十分経験していると思います。仕事においては「出来た」をさらに究め、価値を高める必要があります。一言で「出来た」といっても、安定的に一定の水準を維持できなければ意味がありません。「出来た」の上は「習得(マスター)する」「熟練」そして「超一流」[究める」などより高いレベルがあります。より高いレベルの価値があることを是非意識してください。
「態度」
態度については「謙虚」「貪欲」「前向き」の3つの観点について話をします。まず「謙虚」です。老子は「足るを知る者は富む」と言っています。一人ひとり持っている能力や、与えられる環境は違います。人と比べあれが足りない、これが足りないと恨み言をいうのでは成長はありません。自分の立っている位置をよく知り、自分に合った課題を見つけることが大切ですます。謙虚になって着実に成長してください。次に「貪欲」です。ソクラテスは「無知の知」と言っており、知らないのに知ったつもりになっていては成長できません。自分が知らないことや足りないことを知っていることが成長につながります。芸術家やスポーツ選手が一流になるまでの10,000時間の鍛錬が必要と言われています。平日毎日8時間を一年間続けると約2000時間。仕事の時間中すべて鍛錬に費やしても5年間要することになります。バイオリニストに関して調査した結果によると超一流と良い演奏者の違いは練習時間よりも鍛錬の内容にあるそうです。超一流の演奏者は孤独で辛い練習の割合が多く、良い演奏者はレッスンやクラスなど受けられる機会が多いそうです。3つ目は「前向き」です。「疾風に勁草を知る」という言葉があります。後漢の光武帝が戦に臨んだ際、旗色が悪くなったときに味方が皆逃げてしまい、その時に言った言葉です。大リーガーのイチロー選手は「宿題が大切」と言っています。勉強が大切ということではなく、理不尽さへの免疫をつけるためなのだそうです。子供にとって一番避けたい宿題に向き合うことで理不尽さを克服し、様々な理不尽にも対応できるようになるということです。仕事においてもすべてが平等で合理的なわけではありません。理不尽だと感じることがあります。その時に如何に「前向きに」克服するかが重要です。疾風が吹いたときに真の実力が現れます。目先の利益ばかりを追うのではなく疾風に負けないような実力を地道に付けていって欲しいと思います。ここに皆さんが集まったのは皆さんが当社に入社することを選択したからです。私は選択をした後、他の選択肢を取ったであろう自分をライバルとしてみます。このライバルに負けないように心がけています。富士情報に入社したことで一番成長出来たと皆さんに思ってもらえるような環境を作っていきたいと思います。成長を期待します。