6月10日は「時の記念日」です。これは西暦671年に天智天皇が当時の都である近江で漏刻(水時計)と鐘で初めて時を知らせたという、「日本書紀」の記述に基づいて1920年に制定されました。1920年は大正9年で、当時は近代化が進む中で時間を厳守し、生活規律を向上し時間を節約し効率を向上するよう意図されていたようです。今でも近江神社では6月10日には「漏刻祭」が執り行われます。
時間は貴重であり大切に使わなければならないというのは誰もが重視する共通認識です。しかし、実態は必ずしもこのような認識を反映できておらず、自省しています。朝礼などで話を聞いているときでも、話そのものを前向きに取り入れる、話を聞きながら自分なりの考えを推考する、反面教師として生かす、話以外の身振りや他の人の反応を観察する、など観点を変えれば色々吸収することができます。
同じ地球に生まれても国、地域など一人ひとりに与えられる条件はおおいに異なります。しかし、時間は有限でありすべての人に平等に与えられている貴重な資源です。特に我々は日本という良い環境で貴重な時間を使うことができる、恵まれた立場にいます。
限りある時間を可能な限り有効に使わなければなりません。仕事の観点で考えると、期待されている結果を出す効率を高めるためには、時間当たりに出来る仕事の量を増やす、新しい技術や方法などを導入するなどで可能です。前者はスピード、パワー、後者は工夫・合理化による効率向上であると言えます。効率向上を図る際には定量的な観点を持ち、数値管理が重要です。ゴルフの松山秀樹選手が大学時代に石川遼選手に関するインタビューを学生寮で受けていた時に、彼の背後の壁に「才能は有限、努力は無限」と掲げてありました。有限なものと無限の(可能性のある)ものを区別することで、合理的な取捨選択ができるようになります。
同じ結果を出す効率向上に限界が来た時には、根本から見直すことが必要になります。そもそも必要なこと必要とはいえないことなどは、技術・社会環境の変化など時とともに変わってきます。システム開発、業務創生という観点であれば要件定義から見直すことで大幅な革新、つまり質的な変革を促すことが可能です。仕事においては効率向上を心がけることは当然ですが、限界があります。、そのうえでいかに本質に迫り質的な変革、前進ができるかで大きく変わってきます。
ホンダの創業者本田宗一郎は「時間だけは神様が平等に与えて下さった。これをいかに有効に使うかはその人の才覚であって、うまく利用した人がこの世の中の成功者なんだ。」と言っています。
平等な資源をいかにうまく使っていくか、成功に近づくようにしていきたいと思います。