VALUという株式に似たサービスが5月31日に開始しました。株式市場では企業が株式を公開し、投資家が株式を購入、配当や株価の値上がりなどで利益を得ます。VALUでは個人が自分の株(VALU=VA)を発行し、VALUではソーシャルメディアのフォロワー数・友達数に応じて自身の時価総額を自動的に算出され、取引は仮想通貨のビットコインを使います。発行したVAを売るたびに発行者にはビットコインが渡ります。VAを取得するとVALUER(株主)となりその人のタイムライン、限定コンテンツが見られるそうです。VALUERには「優待」もあります。グッズをもらったり、相談にのってもらえたり、アドバイスをもらえたり、一緒にビールが飲めるなどVA発行者が自由に設定ができます。VALUの開発にあたっては金融庁に何度も足を運び1つ1つの機能について法律面の問題がないか確認してきたのだそうです。VAの発行者数は7月中旬の時点で約1万2000人と報道されました。堀江貴文さんなどもVAを発行していて9月22日時点で、時価総額が4500ビットコイン(=約18.5億円)にもなります。時価総額が一番高いのは猫組長というVA発行者で28000BTC(約115億円)にもなります。
230万ものフォロワーを持つヒカルというYoutuberがいます。ヒカルは今年の4月に、兵庫県の春祭りの屋台でくじ引きで当たりが出るかという検証動画をUploadしました。一等賞は今話題の任天堂Switchでした。ヒカルは屋台で1回300円のくじ引きを15万円買い、その場ですべて開封し、(そのくじ引き屋で)当たりが一つもないことを実証し、この動画は話題を呼び1800万回も視聴されました。
ヒカルもVALUで8月からVAを発行していました。人気のYoutuberですので連日の高騰となりました。ところが高値になったある日、突然すべてのVAを売り切ってしまい数千万円相当の利益を得たと言われています。その後ヒカルのVAは暴落してしまいました。一連の出来事の中でVAを高騰させるためのあおり行為や、売り逃げ、インサイダーなど指摘されており、詐欺事件に発展する可能性もあります。この出来事の結果ヒカルをはじめ関係者のVAの取引は停止され、現在はYoutubeを含め、活動を停止に追い込まれてしまいました。
VALUは金融庁に確認して法的に問題が無いか確認して作られたと言われていますが、株などのように金融商品取引法に該当しないという意味で問題が無いだけです。当然、株式市場を模したルールは有るようですが、情報の開示、取引制限、監視体制など広範に及ぶ株式市場のルールや体制にはかないません。新しい技術やアイデアで多くのサービスやインフラが生み出されていますが、既存のルールや倫理観などが適用される世界であれば、想定外の問題はあまり起きません。既存の枠外の新たなサービス等は問題が起きやすくなります。フリマアプリのメルカリでは現金の出品、質屋のようなCASHでは商品画像の査定が不完全にもかかわらず現金化ができてしまったりと、不完全性をいいことに悪用、トラブルなどの事例が後を絶ちません。新たなサービスに接する際にはどのようなルール、環境に基づいているのかを見極め利活用する必要があります。
我々の仕事は既存の枠の中で成立しており、多くの制約があるものの、少しづつ工夫したり、新たな技術を適用したりしながら新たな価値を創造しています。安定した土台の上に成り立っているから大胆な進化を心がけていきたいと思います。