2017年11月 「排除」発言

2017年11月 「排除」発言

 10月22日の衆議院議員選挙では自民党が勝利しました。一方で台風の目と見られていた希望の党は惨敗でした。敗因として小池都知事の「排除」発言が大きく影響したようです。
 9月28日の衆議院の解散に先立ち小池都知事は9月25日に「希望の党」を立ち上げました。7月の都議会議員選挙での「都民ファーストの会」の圧勝をうけ、今回の衆議院選挙でも躍進する期待がありました。このような背景のなか民進党は28日の同両院議員総会で前原代表が「安倍政権打倒のために1対1の対決に持ち込む。排除されることはない」と説明し、民進解体・希望合流が満場一致で了承され、民進党から希望の党への合流が決まりました。翌日29日の金曜日には都の定例会見がありました。「排除」発言はその場でのことです。フリージャーナリスト横田氏は都知事には滅多に指名されませんが、29日は半年ぶりに指名を受け質問することができました。横田氏は小池都知事に「前原代表が昨日、所属議員向けに『希望の党に公認申請をすれば、排除されない』という説明をしたのですが、一方で小池都知事は『安保、改憲を考慮して一致しない人は公認しない』と報道機関に話している。」と前原代表の発言と小池都知事の発言の違いを指摘し、真意を問いました。そして都知事は「前原代表がどういう発言をしたのか、承知をいたしていませんが、『排除されない』ということはございませんで、排除いたします。取捨(選択)というか、絞らせていただきます。」と発言し、この「排除」発言が大きく報道され、希望の党は減速し、希望の党から排除された多くの議員は立憲民主党で当選し、自民党が過半数(233議席)を大幅に超える284議席を確保しました。このような経緯を考えると、今回の「排除」発言は単なる失言ではなく都知事の本心が出てしまったのだと思います。これらの報道を見た多くの有権者も単なる失言とは受け止めずに、希望の党の失速につながったのだと思います。
 我々が政治に関与できるのは選挙しかありません。私はいくつかの判断基準を持っています。政治家としての理念、政策実行能力などです。理念に共感でき、政治家になるまでの経歴で法曹(弁護士、裁判官など)関係であったり、国家公務員などの行政経験者など政策実行能力が見込まれるかなどを見ています。選挙の時は耳障りの良い発言に終始し、みな同じような成果をアピールします。選挙の時だけ、わずかな情報だけで判断するのは非常に困難です。「一国の政治というものは、国民を映し出す鏡にすぎない。」と言われます。大衆迎合主義や衆愚政治などのいわゆるポピュリズムに陥らないように、日ごろから政治に関心を持ち理念、政策をどのように実現しているかチェックしていくよう心がけたいと思います。