株式会社富士情報

2018年指針 「進化的成長」

社長 渡辺直企

  明けましておめでとうございます。2017年は反グローバリゼーション、米国第一主義を掲げるトランプ大統領が就任、フランスでは自由貿易を促進するグローバリストのマクロン大統領の選出などがあり、国際政治は過渡期に差し掛かり混沌としています。国内経済としては東芝が原子力事業で巨額損失を計上し、国内製造業では過去最大規模となる9656億円の赤字となり、6月にはタカタが民事再生を申請、負債額は少なくとも約1兆800億円に上り、製造業では戦後最大となりました。また、日産、神戸製鋼、三菱マテリアル、東レ、スバルなど様々な製造業で品質問題が発覚しました。みずほFGは1万9000人削減、他のメガバンクも業務量削減を発表しました。グローバル化やIoT、AI、ロボット、仮想通貨など新たな技術に歴史のある大企業ですら継続的に発展するのが難しい環境になっています。 今年もひきつづき、世界の政治をはじめ、新たな技術、経済が大きく変わり続けていくと思います。そのような中で継続的に発展していくよう今年の指針を「進化的成長」としました。「進化」と「成長」という我々生きるものにとって当たり前の似たような概念ですが、実態は全く異なります。「成長」は我々個体が親から引き継いだ遺伝子に従い、発達し大きくなることいい、「進化」は種のなかで環境に合う個体が選別されて、種の性質が変わっていく事を言います。個体にとって進化はある意味残酷です。個体つまり個人や企業は社会に生れ出たときに事業・仕事の考え方、手段が確立し、一人前の社会人、企業となります。社会の変化が緩やかであれば、創業時・入社時に確立したまま長く繁栄し続けることも可能ですが、現在のような環境では継続すら困難となります。破壊的イノベーションに言われるようにある企業が一旦市場での立場を確立してしまうと、新しい技術・ビジネスモデルへの対応が困難となり、持続的に発展するのが困難となり、イノベーションのジレンマに陥ってしまい、しがらみを持たない新興企業が市場を席捲するようになります。今年のITトレンドキーワードの一つに「自己ディスラプト」があります。グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブック、アリババなどのデジタル・ジャイアンツと呼ばれる7社は大きくなりすぎて新しい事業を作り出すことが困難になっておりリーダーシップを取り続けるため、自らの事業をディスラブト(破壊)して事業を再構築する必要があるとのことです。このように企業にとって変化し続けることは容易ではありません。  我々の体そのもの(ハードウェア)は生きている間に進化することは物理的に不可能です。仕事(ソフトウェア)は我々の成長の中で進化させることは不可能ではありません。意識と行動を変える必要があります。「進化」のキーワードは多様性、自然選択、適者生存、漸進的などがあります。通常仕事は計画を立て目標に向かい進んでいきます。計画にはいくつかの要素が目標として設定させているはずです。研究設備の様に環境が常に同じであれば仕事は予定通りとなりますが、環境は画一的ではありません。お客様、業務、時期、量など様々な要素が異なり、必要な手段、手順、要求される価値も少しずつ異なります。これらの要素に関して環境(お客様)にとっての評価・メリットなどに対して感度を高くし、自分の個性の多様化に心がけます。お客様は直接相対するお客様や、最終的にサービスを享受する間接的なお客様まで様々です。視点が変わることで自分の個性に関して新たな発見があるかもしれません。次にこれらの特徴を仕事にフィードバックし少しずつ強化させます。この繰り返しの蓄積が「進化」につながります。鳥の翼は元々飛ぶためではなかったという説があります。恐竜の時代に異性を引き付けるために羽が生え、次第に増えていき、最終的に飛ぶ事が可能になったという訳です。個性、多様化を認めることで進化が進みますが、我々の計画や意思・理想が邪魔することがあると思います。自分の視点ではなく環境から選択されているか否かに関して評価する必要があります。進化は斬新的であり一つの特徴が進化として認められるまで30世代ほどかかるとの説があります。すぐに大きな成果には結びつきません。常に環境に感度を高くし、少しずつ変化させ続けることが重要です。ひとり一人か仕事の中で少しずつ「進化」を伴った成長をしていくことで会社がこれからも継続的に「進化」していくようにしていきたいと思います。