2018年05月 社会保障費抑制

2018年05月 社会保障費抑制

 国の経済財政諮問会議では社会保障費に関する議論が行われており、「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」を公表しました。この中で、2018年度では121.3兆円の社会保障給付費が、団塊世代が皆75歳以上となる2025年度には約140兆円、団塊ジュニア世代が65歳以上となり高齢化のピークである2040年度には約190兆円となることが明らかとなりました。政府は16年度から18年度までの3年間は社会保障関係費の伸びを毎年5000億円にとどめる財政健全化の目安を定めており、2018年度予算編成で焦点となる社会保障費抑制を巡る議論がなされました。高齢化などで自然に増える6300億円を5000億円に抑えるほか、待機児童対策に要る約500億円の財源を確保するため、2018年度は1800億円の歳出削減が必要となります。診療報酬・介護報酬の改定、薬価制度の抜本改革、生活保護の見直し、児童手当の特例給付の廃止、企業主導型保育所の拡充などを課題に挙げ改革を進めることになっています。社会保障費の抑制は今後も続き、特に社会保障費の支出は高齢者で多く、原則1割になっている75歳以上の医療費や介護保険の利用者負担を2割に引き上げるという議論もあります。
 我々は現役の頃から将来に向けて備えが必要です。金銭的な備えが考えられますが、そもそも社会保障に依存しないような健康な状態を作り、健康寿命を延ばしていくべきだと思います。東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム副部長・運動科学研究室長の青柳幸利氏は、中之条研究で有名です。中之条研究は、青柳氏が生まれ故郷の群馬県中之条町で2000年から実践している健康実験です。町内の65歳以上を対象に活動量計を配布し、そのデータを詳細に分析することで「歩数」だけでなく「速歩きの時間(中強度の活動時間)」による普遍的な健康づくりの指標を編み出しました。厚生労働省は1日8000歩などの目安を定めていますが、高齢者にとって健康維持、病気・病態予防のために基準となる数値は1日平均8000歩、中強度の活動時間が20分必要とのことです。歩数や活動によって予防できる内容が段階的に変わってきます。4000歩/5分が「うつ病」、5000歩/7.5分が「認知症、脳卒中、心疾患など」、7000歩/15分が「がん、骨粗しょう症、動脈硬化など」といった具合です。理想とされる8000歩/20分の予防項目には「血圧症、糖尿病、脂質異常症、メタボリック・シンドローム」などです。中強度とは運動の強度指標(METs)でいうと3~5METsとなります。これは5km/時の速歩や階段上りに該当します。東京タワーの展望台(150m)までの階段が600段を上るのに約12~13分、一般家庭の階段は14~15段/階ですので60階ほど必要になります。「東京圏在住サラリーマンの通勤時身体運動量」という報告によりますと東京圏在住の勤労者の1日の歩数は、電車通勤男性群9,305±2,651歩、クルマ通勤男性群では3,490±1,406歩でした。自分の日常の活動を顧みて歩数を増やす、速歩を取り入れる、階段を使用するなど少しづつ改善するよう心掛けて下さい。