株式会社富士情報

2020年指針 「原色回帰」

社長 渡辺直企

明けましておめでとうございます。

2020年が始まりました。昨年は米中の貿易戦争をはじめ、12月に行われたイギリスの総選挙ではEUからの離脱推進派の保守党の圧勝となりました。今年に入り中東情勢も悪化しています。国内でも企業倒産は11年ぶりに増加し、上場企業の早期・希望退職の募集は、2019年に入り増加に転じ、1-11月で延べ36社、11,351人に達しました。統計開始以来、企業数が過去最低を記録した2018年から一転し、2019年は前年に比べ企業数で3倍、人数は約4倍に増加しました。我々が携わるデータの入力や事務等は人工知能(AI)や自動化(RPA)といった新たな技術の活用が進み、これまで以上に付加価値の高い仕事が要求されています。AI、RPAだけでなくビッグデータ、機械学習、量子コンピュータやIoT、5Gなど情報通信の環境は非常に速い速度で新たな技術が提供されており、今後も変化に対する追従が必要になってきています。このような環境ですが、良いお客様、社員をはじめ多くの関係者のおかげで堅実に運営ができています。

今年の干支は最初に戻り子(ねずみ)年です。また、元号も変わり再び原点に立ち戻り長期間での成長へと結び付けたいと考え、今年の指針を「原色回帰」としました。

従来の変化が少ない環境で品質と生産性を追及する場合、ルールに従った均質な仕事を期待されます。教育においても官僚、軍事、製造を担う人材を育成するため均質化に重点が置かれてきました。一方我々は能力は非均質で得意、不得意があり、均質化を目指す場合は能力を最大限発揮できているとは言えません。均質な組織で皆が同じ方向を向いて同じように能力を発揮しているので環境変化が小さいときには組織マネージメント、品質維持が容易になります。しかし、VUCA: Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)と呼ばれるような現在の環境変化が早い場合は、変わっていく環境に対して組織全体を臨機応変に対応する必要があり、均質な組織では変化への追従には非常に大きなコストがかかります。そこで一人ひとりが自分の能力(色)を熟知したうえで、変化に対する全体の方向性を理解し、課題が発生した時に最大限自分の能力が発揮できるように対応する。組織としては一つの方針に従いますが、組織内には多様な才能がひしめき合うような状態になり、各々が連携し課題に対応する。課題に応じて組織やメンバーが能力を変えるのではなく、課題に直面している人、課題をクリアするのが最も適している人が対応していく必要があります。

昨年のラグビーワールドカップで稲垣選手が決めたトライには多くの選手が関わり、サポートし、カバーしていました。スポーツの世界では当たりまえですが、当社のような事業領域にもこのような考えを浸透させ、個人の能力を最大限発揮し、組織の力が最大化するようにしていきたいと考えています。

自分の色は何色か、自分が思っていない色ではないこともあります。物の色は光があたって初めて色を認識できます。我々にとってはお客様、社会からの仕事に対する期待が光です。

当社には3つの事業領域があります。当社の歴史そのもののエントリ事業本部ではレッドオーシャンからの脱却が課題です、大黒柱となったシステム事業本部ではこれまでの実績をより高いレベルに引き上げ富士情報の色をメンバー、お客様により深く理解してもらう必要があります。健康診断のBPOが急伸している新規事業推進部は多くのお客様の期待があります。少しづつ成果が実を結んでいますが、堅実な事業と昇華させる必要があります。それぞれの部門ごと事業の成長フェーズや課題が異なります。これまで培ったノウハウやルールの上に各部門の色を濃くしていき、お客様、社会から富士情報の色が明確になっていくようにしていきたいと思います。