2020年10月 支援制度

2020年10月 支援制度

 新型コロナの影響で4-6月期のGDPは年率換算で−28.1%となりました。このGDPの落ち込み幅はリーマン・ショック後の09年1〜3月期に記録した年率17.8%減を超え、統計を遡れる1955年以降で最大の落ち込みです。8月のGDPは前月比+0.6%となり少しずつではありますが、大きな落ち込みから回復しつつあります。帝国データバンクによりますと2020年度上半期(4〜9)月の倒産件数は3956件で前年同期対比で5.2%減となりました。上半期としては2000年度に次ぐ過去2番目に低い件数とのことでした。これは「新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績不振に陥った中小企業などへの資金繰り支援策「持続化給付金」は10月5日までに約346万件(約4.5兆円)実行された。また、2020年度上半期における銀行の貸出金残高は前年同期比で大幅な伸びをみせた。各種給付金や実質無利子・無担保の制度融資などが奏功し、期中の企業倒産の抑制につながったとみられる。」とのことでした。政府や銀行からの緊急支援が功を奏している状況と言えます。一人10万円の特別定額給付金が記憶に新しいと思います。特別定額給付金のときには自治体によってマイナンバーが機能していたり、逆に足を引っ張ったりと、各自治体の制度やシステムインフラの違いで若干混乱しましたが致命的なトラブルも無く給付ができました。今回の課題はデジタル庁の課題の一つとして今後のよりより仕組みづくりで生かされていくと期待しています。一方、中小企業などへの資金繰り支援策「持続化給付金」に関しては9月に沖縄で税理士が関与し1800件もの不正受給が発覚し、沖縄タイムスの記者を始め多くの人が詐欺罪で逮捕されました。その後も全国で同様の詐欺が発覚し、逮捕が相次いでいます。持続化給付金は売上が半減した中小企業や個人事業主に対する経済産業省の支援策です。大きな打撃を受けた企業、個人に対してできるだけ早く支給しなければいけないため確認が甘かった点があるかもしれません。また給付金の証拠書類に確定申告書がありますが、現在の制度では税務署との連携が難しかったことも考えられます。多くの支援制度は支援されるべき対象があり、制度がつくられます。最初から厳密に制度設計することは少なく、趣旨を明確にし、性善説を前提に出来る限りシンプルな制度を作ることが多いと思います。GoToイートでは制度の隙をつき、予約サイトで予約し、店舗で少額の注文だけで支払い以上のポイントを受け取る行為が発生しました。鳥貴族という居酒屋チェーンで多く行われたので「トリキの錬金術」と呼ばれました。その後すぐに最低支払金額が設定されました。「トリキの錬金術」は制度内の行為ですので詐欺罪にはあたりませんが、モラルの問題としては大きく、最終的に多くの人に迷惑をかけてしまいます。これからデジタル化が加速し、多くの証跡が残るようになります。趣旨を逸脱することの害悪は増していくことになると思います。我々の周りには多くの制度がありますが、全員が趣旨を外れること無く活用すれば窮屈な思いをしなくて済みます。目先の利益に囚われ、趣旨を逸脱すること無く活用していくことが大事だと考えています。