2021年03月 NFT

2021年03月 NFT

 “just setting up my twttr”――これはTwitter社の創業者ジャック・ドーシーCEOが15年前にTwitterで一番最初に書き込んだツイートです。このツイートが先日オークションで約291万ドル(約3億1700万円)で落札されました。文字を含むデジタルデータは簡単に複製出来てしまうということを考えると、24文字のフレーズに3億以上も価値がついたことは、すぐには理解し難いニュースです。落札者の暗号資産「トロン(TRX)」の創業者でビットトレントCEOはこのツイートのNFTを所有することになるそうです。NFT(Non-Fungible Token、代替不可能なトークン)はビットコインやイーサリアムの基盤であるブロックチェーンで発行される独自のデジタルトークンです。ツイートだけでなく音楽や絵、映像などデジタルコンテンツをNFTのプラットフォームに登録することでトークンを発行できます。このトークンを使って「コピー不可能なデジタル作品」として取引することが可能になります。デジタルデータと言えばコピーが比較的容易で著作権侵害が問題になっていましたが、ブロックチェーンのオープン性と非改ざん性を活用することでデジタルデータにもかかわらず真のオリジナルを証明することが可能となりました。2017年CryptoKittiesという仮想猫を収集し、購入や売買、交配ができるというゲームでNFTが使われました。すべての猫がNFT化されてオリジナル性とユーザーの所有が保証されました。2020年10月CryptoKittiesの運営会社とNBA(全米プロバスケットボール協会)は共同でNBATopShot(NBAトップショット)というプラットフォームを開発しました。これは従来の紙のカードをデジタル動画にしたものです。ユーザーは通常のカードのように中身が見えないパッケージを購入します。パッケージは基本の$9(千円弱)からオールスターの$229(約25,000円)まで様々です。購入するとハイライトシーンが幾つかありこれらの動画を所有することが出来ます。TopShotのHPで確認したところ今はすべて売り切れで購入出来ませんでした。ハイライトシーンはTopShotのマーケットプレイスでユーザー間で売買できます。希少なハイライトシーンは当然高額になり、八村塁選手の高額なハイライトシーンは2019年11月8日のCavaliers戦のダンクシュートで2月23日に$23,890(約260万円)、3月14日に$37,500(約408万円)で取引されていました。
 Googleの検索キーワードのトレンドをみますとNFTは2月に入ってから急増しています。NFTが広がりデジタルデータのオリジナル性が保証され、価値が向上するのは良い傾向だと思います。すごい時代が来たのだと実感しています。
 ビットコインなどの暗号通貨は取引履歴を記録したブロックチェーンを用いており、一般的には取引を追跡ができます。ただしFT(Fungible Token、代替可能なトークン)であるため、追跡を困難にするような手法を駆使することで追跡の難易度が上がり犯罪に使われてしまいます。日々対策を講じられているので、近い将来より安心して使用できる日が来るかもしれません。一方、NFTは唯一のトークンを持ちますので、ブロックチェーンとの相性も良いと思います。コロナ禍で多くのアーティストが活動できなくなっているので、NFTを活用することでアーティストの活躍の可能性が広がることを期待しています。