2021年04月 山梨モデル

2021年04月 山梨モデル

 新型コロナウイルスの第4波が猛威をふるい、緊急事態宣言が発出されました。3月5日、1都3県の知事は前回の緊急事態宣言が延長されるにあたり「共同宣言」を発表しました。宣言で花見や歓送迎会などの年度末のイベント自粛を呼びかけました。一方、3月10日に山梨県知事は「送別会、歓迎会あるいはお花見につきましては、現在山梨県は感染状況が収まっていますので、ぜひ大いに行っていただきたいと思います」といい、この中で短時間、斜め向かいあるいはパーティション越し、お酌はなし、などの注意とともにグリーン・ゾーン認証店を選ぶよう依頼していました。現在山梨県も残念ながら感染者は増えていますが、自粛を呼びかけていた1都3県に比べるとかなり低いままです。店舗のコロナ対策の目安として東京都は昨年6月から「感染防止徹底宣言ステッカー」を発行しています。これは事業者がチェックシートの項目をチェック・実践しWEB上で申請することで発行されます。チェックシートは業種別に用意されレストラン、料理店等編では21のチェック項目があります。グリーン・ゾーン認証は昨年5月から実施しています。49項目に沿って事業者が体制を整えたのち、県に確認を申請し、専門家委員会が審査します。項目数も異なりますが、東京は自己申告ですがグリーン・ゾーン認証は専門委員会の現地確認のお墨付きという大きな違いがあります。店舗にはグリーン・ゾーン認証のQRコード付きのマークを交付し、QRコードをスマートフォンで読み取ると店舗の対策内容が表示され、店舗利用時の意見もここから投稿ができるようになっています。4月22日時点で4867の飲食店、宿泊などの施設が認証を受けていてグリーン・ゾーン認証のホームページで確認できます。山梨は小さい県ですが1000人あたりの飲食店は5.62店と全国6位で3位の東京の6.23店と大きくは違いません。食費に占める外食の比率(外食比)は22.0%と全国11位、4位の東京27.8%に比べると低いですが、千葉は14位、神奈川は17位と1都3県と比べると似た水準と言えます。飲酒のモラルが良いかというと、1000人あたりの飲酒運転摘発検挙数は0.38と全国ワースト4位ですので、良いとは言えません。このような背景から考えるとコロナ感染拡大の要因は複雑で明確な評価は難しいですが、グリーン・ゾーン認証の効果は大きいと思います。なぜ山梨がこのような対応を一年近く前から出来たのか非常に重要だと考えています。人には正常性バイアスといい、我々の心は予期しない出来事に鈍感になっています。地震や噴火などで逃げ遅れることが具体的な例として上げられます。昨年の3月31日には厚生労働省が「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を提示し、一般的にコロナ対策の基礎知識は周知されていました。しかし、コロナの影響は社会的に大きい一方身近な危機としてなかなか認識しづらいという面もあり、この一年間は感染の拡大、縮小を繰り返しています。山梨県は早い段階からグリーン・ゾーン認証を実効的な手段として制定し、少しづつ認証店を増やすことで効果を上げてきました。やらなければいけないこと、やるべきことが分かっていてもすぐに効果が得られないとなかなか実行することが出来ません。少しくらい手を抜いてもすぐには致命傷になりません。小さな手抜きでも積み重なると検査偽装や粉飾などの不祥事に繋がります。仕事の中でも些細な手抜きをせず、やらなければいけないことを少しづつでも実施することが継続的な成長に繋がります。これからも組織的に小さな積み重ねを続けていきたいと思います。ワクチン接種が始まりました、イスラエルではすでに大きな効果を上げているようですが変異株や未摂取地域の影響など今後も継続的に効果を維持できるかは未知です。グリーン・ゾーン認証は滋賀県や千葉県も取り入れるとの報道がありました。グリーン・ゾーン認証が今後当たり前になるかも知れません。