2021年05月 環境負荷

2021年05月 環境負荷

 暗号通貨のビットコインが急落しています。今年の4月に1ビットコインが700万円を超えていましたが、5月20日の早朝には327万円近辺まで下落しました。直近では中国政府によるビットコインのマイニングや取引を取り締まる方針を表明したことが原因ですが、5月13日に電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOがテスラのビットコイン決済の導入をキャンセルしたことが大きく影響しています。イーロン・マスクは暗号通貨に対しては前向きで今年2月にテスラが15億ドル(約1600億円)相当のビットコインを購入しています。3月には今年中にビットコインでテスラ車の購入が可能になると表明していました。テスラの一連の発表を受けビットコインは高騰していました。突然の心変わりと言えます。イーロン・マスクは「テスラはビットコインを使う自動車購入を停止した。我々は、ビットコインの採掘および取引に伴う化石燃料、特に最悪の排ガス源である石炭の急速な利用増を懸念している。」とツイートしました。ビットコインは取引記録を保存するために暗号の計算(マイニング)を実施し、一番先に計算できた人がビットコインを報酬として獲得します。マイニングはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)といい計算資源が多い人が非常に有利な仕組みになっています。そのため安価な電力が提供される中国で多くのマイニングが実施されます。中国には世界の65%のビットコインの計算資源があるそうです。ケンブリッジ大学が発表した「ビットコイン電力消費指数」によれば、ビットコインのネットワークに使用されている電力量は5月時点の推計で年間142.59テラワットアワー(TWh)になります。これは国と比較すると世界27位の電力消費国に相当します。ノルウェーが124TWh、人口1.6億人のバングラディシュが71TWhであることからも、ビットコインは非常に多くの電力を消費していることがわかります。
 イーロン・マスクはツイッターで「そして我々は、ビットコインのエネルギー使用量/決済の1%にも満たない、他の暗号資産の数々に注目している。」とも言及しています。PoWはマイニングに誰でも平等に参加できるため計算資源が多い人が有利です。マイニングにはPoW以外にプルーフ・オブ・ステーク(PoS)という方式があります。これはコイン保有量とそのコインの保有期間の掛け算で表される「CoinAge(コイン年数)」が大きいほど、簡単にマイニングが行える仕組みです。
 日本政府、2030年のCO2削減目標を2013年比46%に設定しました。省エネ、再生エネルギー、原子力発電の活用などで実現するとしています。4月にはレジ袋の有料化が始まりました。経済産業省によれば、プラスチックごみを減らすための「啓蒙・啓発」が目的とされています。ESG、SDGsなど環境に対する関心の高まりと、国、企業などの単位で環境負荷を低減させる取り組みが進んでいます。今後も環境問題に起因するような影響が我々の身近に起こると思います。関心を持って、よりよい対応ができるようにしていきたいと思います。