2021年08月 ワクチン接種

2021年08月 ワクチン接種

 ワクチン接種が2月17日から開始されました。NHKによりますと8月22日時点で1回目の接種を終えた人が49.37%、2回目の接種を終えた人が38.85%となっています。(分母には接種対象年齢外の子供も含む)ワクチン接種が進む一方で感染者拡大は収まらず8月22日に全国で22,364人と過去最高を記録しました。東京都の8月の感染状況を年代別にみると10代以下が14%、20代が32%、30代が21%と30代以下が7割近くを占めます。活動量が多い若い世代への接種が鍵となると言われています。一方、兵庫新聞の記事によりますと兵庫県では6月21日から県内16大学で学生向けに接種をはじめましたが、2ヶ月過ぎても半数程度の28,000人程度に収まっているとのことです。看護・医療系大学では8割を超す一方、3~4割にとどまる大学もあり、学部などによって差が大きいとしています。若い人を中心に、ワクチン後の発熱や倦怠感などの副反応に不安を抱える人が躊躇することに加え、「不妊・流産」などの風評の影響も大きいと思います。SNSの普及に伴い風評が拡散しやすくなり、情報を見極めて判断することが重要になっています。
 ニッセイ基礎研究所の窪谷氏のコラムによりますと、アメリカは7月時点でワクチン接種完了率が約50%となり、一時25万人を超えた新規感染者数は5万人を下回る水準になっています。NYタイムスのデータを引用し州別の接種率を比較しています。ワクチン接種率が高い州はマサチューセッツ州63%などで10万人あたりの一週間の新規感染者数は2人程度です。一方アーカンソー州は接種率が34%と低く、10万人あたりの新規感染者数が34人と全米で最も多く、少ない州に比べて17倍も多くなっています。これには支持する政党の傾向がみられます。2020年の大統領選挙結果でみると新規感染者数が多い10州は9州が共和党支持基盤州ですが、感染者が少ない10州のうち8州は民主党支持基盤州です。まワクチン未接種の理由に対するアンケートでは、民主党支持者の36%、共和党支持者の55%が「ワクチンを接種したくない」と回答、民主党支持者の25%、共和党の47%が「ワクチンを必要としない」と回答するなど党派性が明確に現れています。トランプ前大統領はワクチン接種を推奨していますが、昨年の大統領選挙結果が共和党支持者に影響を与え、感情的に判断してしまっているようです。既に科学的、統計的な評価が出ているので誤った判断をするのは非常に危険だと思います。副反応に関しては「The New ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」に投稿された「Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine」でプラセボ(偽薬)の評価をしてます。プラセボとは生理食塩水など効き目のない注射をしても効き目があると思いこむことで、病気の症状(副反応)が出てしまうことをいいます。この論文ではアメリカをはじめ計6カ国で43,448人に対し、ファイザー製ワクチン(BNT162b2)を21,720人、プラセボ(生理食塩水)を21,728人に注射し比較しています。16歳から55歳で1回目の接種の後で(ワクチン:プラセボ)として比較すると、倦怠感(47%:33%)、頭痛(42%:34%)、筋肉痛(21%:11%)、悪寒(14%:6%)、下痢(11%:12%)と概ねプラセボでもワクチンに対して半分以上副反応が出ていることがわかります。2度目はプラセボが低くなる傾向があり、倦怠感(59%:23%)、頭痛(52%:24%)、筋肉痛(37%:8%)、悪寒(35%、4%)、下痢(10%:8%)と生理食塩水を注射しただけでも2割以上の人が倦怠感や頭痛といった副反応を訴えています。副反応は事実ですが、プラセボは暗示の影響がありますので、心配過ぎないことが大事だと思います。コロナワクチンは猛威を奮っているデルタ株に対しても、重症化を防ぐ効果があります、非科学的な情報に惑わされること無く多くの人が早く接種してより安心して生活できるようになって欲しいと思います。