2022年指針 「論理 倫理 新理」

社長 渡辺直企

 新しい年が始まりました。昨年はコロナ禍が続きましたが、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、MLBでは大谷翔平選手の大活躍がありました。また、景気に関しては12月23日に政府が発表した2021年度のGDP実質成長率は2.6%、2022年度においては3.2%としており、半導体不足、オミクロン株など混乱は続いていますが少しずつ、着実に回復していくよう期待しています。
 当社においては創業者である渡辺努会長の急逝という大きな衝撃がありました。11月の社内報に2008年4月の努社長(当時)の35周年を迎えた際の記事「継承と創造」を掲載しました。富士情報がこれからも継続的に成長し続けるためには環境にあった「継承と創造」が必須です。経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは企業の継続には継続的な創造が必須としています。創造というと、無から新たな物を作り出すというイメージを持ちます。シュンペーターは創造を新結合としています。つまり、既にある物をこれまでにない形で組み合わせることで創造が可能であるとしています。つまり創造には継承が必須不可欠です。
 今年の指針を「論理 倫理 新理」としました。論理には科学的論理、非科学的論理があります。科学的論理は数学にはじまり古典力学、物理学(万有引力や相対性理論、素粒子論など)、科学的に立証され、一定条件の下で普遍的に再現性がある理論のことを言います。非科学的論理は人文科学的な論理で、人が作った理論を言います。法律、資本主義、民主主義、など比較的明確な論理や、慣習、文化、習わしなど地域、組織、時代で大きく異なる曖昧な論理があります。法律は比較的明確な論理ですが時代とともに変わります。現在は世界のほとんどの国で参政権は男女平等です。1789年のフランス革命の後、1792年フランスで世界で初めて普通選挙が実施されました。このときには選挙権は男性しか持っていませんでした。その後90年経ったアメリカで世界初の女性の参政権が実現しました。現在は職業選択は当然自由ですが、江戸時代は士農工商という身分制度がありました。
発明は一種の科学的論理と言えます。産業革命のきっかけになった蒸気機関は蒸気の圧力という熱力学の論理を回転運動として活用した発明です。科学的論理は再現性があり、異なる論理を組み合わせることで発展してきました。1845年にイギリスの数学者ブールが発見した0,1をand,or,notという演算子で演算するブール代数は、1937年MITのシャノンの論文でスイッチによる回路で実現出来ることが示されました。コンピュータやスマートフォンは非常に複雑な処理が可能ですが基本はシャノンによるブール代数のスイッチ回路の実装というシンプルなものです。
 論理だけで答えを出すことは出来ません。技術、政治、経済、文化、組織、立場など環境によって大きく影響を受けます。都度、人が環境や過去の経験などを基準に良し悪しを判断し、これを倫理とします。通常は、科学的論理、非科学的論理を元に評価しますが絶対的な正解、ベストという答えは簡単に出せません。国、職業、年齢、性別によって良し悪しの基準が変わります。環境が変わらなければ比較的安定的に同じ論理、倫理で判断できます。グローバル化、技術革新など、我々を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。我々は環境の変化に対応するために常に新しい論理、つまり「新理」が必要になります。毎回適切な「新」にたどり着くことは難しく、これまでの経験、知識、想像力を駆使し試行錯誤していく必要があります。日々新たな変化に対応するため少しずつ「新理」を生み出し、この「新理」を我々の組織文化、能力としていくことで、継続的な「継承と創造」が可能になると考えています。
 厳しい社会環境が続きます。当社は今年の4月から節目の第50期がはじまります。一人ひとり、そして各組織が今後継続的に成長出来る大きな節目の年となるようにしていきたいと思います。