2022年08月 正しさ

2022年08月 正しさ

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関係が問題視されています。8/22付の毎日新聞が報じた調査によると、岸田内閣の対応に対する不満が増し、内閣支持率は7月から16ポイント下落し36%となりました。統一教会に関しては、1990年代前半に合同結婚式や霊感商法で話題になった記憶があります。未だに組織の活動が継続していることや名称が変わったことも今回の一連の報道で知りました。また、学生の頃「原理研究会」というサークルに関する噂を聞いたことがありました。少し過激な思想団体くらいに思っていましたが、旧統一教会が設立した学生団体と知り驚きました。旧統一教会は金融を始めマスメディアや食品、医療など140を超える関連組織を有していて日常の中でも影響力があるのだと再認識しました。弱みに付け込んだ強引な勧誘、高額な壺や印艦の販売の結果、経済的に困窮する人が出てしまうことが問題の本質だと考えています。
 先日「日経テレ東大学」というYoutubeのチャネルで「宗教家に騙されない」というテーマの動画を視聴しました。臨済宗円覚寺派横田南嶺管長はお釈迦様の言葉の解釈として「報道によって聞いたことを鵜呑みにしてはならない」「言い伝えをそのまま受け入れてはならない」「経典にあるからといってそのまま受け入れてはならない」と紹介し、盲目的に信じることの危険性を指摘しています。感性を磨くことにより、自分で正しく判断できると言っています。ただし、詐欺的なカルト集団は困窮し正常な判断ができないときに、言葉巧みに取り込もうとするので注意が必要です。横田管長は「人間は関係性の中でしか生きていけない。孤立では生きていけない、孤立したときに判断を失う。」と言っており日頃の人間関係の大切さを強調しています。人間関係が疎かになっていく社会の流れの中で、自分で危険を遠ざける知恵も必要だと思います。
 横田管長は大学で話をしたときに、学生から「正義とはなんぞや」と聞かれたときに、『私は即答はできないが、あなたのこれからの人生で「自分は正義だ」と言う人には近づかないことだ』と回答したそうです。「正義とか正しさは定点でない。その時代、社会、状況における微妙なバランスを絶えず、慎重に見続けていくしか無いと思う。」と言い、正義を盲信することに対して「これが正しいと思った瞬間に他の物を排除していく物になっていく。」と危険性を指摘していて、今回のロシアのウクライナ侵攻、過去の戦争などは典型的な問題だと思います。横田管長は『「自分が正しい」には気をつけたほうがよい』『「自分が正義だ」っていう人が一番危ない』『「自分が悟った」これも危ない』と言っています。日本の社会や会社組織は権威的な価値観が多く、立場のある人がこのような権威的・断定的な態度、発言をすることがあるように思います。前職でアメリカで研究開発に携わっていたときに、スタンフォード大学やCMUなどで著名な実績を残した教授や研究者と定期的に交流していました。彼らに共通して言えることは、広い視野を持ち、自分と違う意見、技術に対して興味を持ち、意見を押し付けることなく、よく聞くと言う点でした。技術社会は常に変化しています、権威に惑わされることなくより良い解を求め続け、より良くしていきたいと思います。