株式会社富士情報

2024年指針 「適者進取」

社長 渡辺直企

 元旦に発生した令和6年能登半島地震で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。

 昨年の5月新型コロナウイルス感染症が5類感染症に位置づけられ、長く続いたコロナ禍も終わり、新しい社会生活に移行しつつあります。ウクライナ、パレスチナなどの武力衝突、自然災害、など不確実性が高い状態が続きます。また、ChatGPTなどの生成AIを始めとする新しい技術により、我々を取り巻く環境が加速度的に変わっています。このような変化していく環境への適応が求められています。環境への適応という観点では、ダーウィンの進化論が有名です。生物の進化は変異、遺伝、選択によって機能します。DNAの変異、環境による淘汰を経て「適者生存」つまり進化が実現します。進化による環境への適応には何世代もの時間が必要となります。環境へ適応するためには進化以外に「考える」つまり脳を活用することでも実現可能です。DNAの進化をハードウェアとすると、脳による適応はソフトウェア(知性)による環境への適応ということになります。そこで、今年の指針を「適者進取」としました。「進取」とは「みずから進んで物事に取り組むこと」をいいます。「適者生存」がDNAによる受け身的進化とすれば、「適者進取」は知恵を使い積極的に環境に適応していくことをあらわしています。我々が記憶するのは、過去の餌を見つけるなど成功、敵に襲われるなど失敗を手がかりに生存の可能性を高めるためです。記憶が積み重ねられ、集団の常識、文化が醸成されます。アインシュタインは「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」と言っています。常識と言ってもあくまでも環境に適合するための偏見の集まりと考える事ができます。環境があまり変わらない場合、環境の中で繰り返される出来事に対応するために記憶、常識を頼りにすることが有益です。現在のように環境が目まぐるしく変わる場合、記憶、常識への依存は危険を伴う恐れがあります。コロナ禍で生活面で多くの制限が課され、それまでの常識を見直して対応してきました。コロナ禍が明けた今はむしろチャンスです。単純に元通りに戻すのではなく、常識を見直し、環境が変わっていないか、環境に適応するためにはどうすべきかを常に考え、少しでも良い取り組みを「進取」つまり積極的に実施する必要があります。考えたからといってすべての取り組みが正解となるわけではありません。環境つまり社会やお客様などからのフィードバックが重要です。我々の取り組みが社会やお客様にとってよりよい価値を生み出しているか確認することで「適者進取」が機能します。少しづつ「適者進取」を繰り返すことで環境に適応し漸進的で積極的な「進化」を生み出すことが可能になります。
 世界経済フォーラムは、国際社会を取り巻くリスクを分析した2024年版の報告書を発表し、短期的には「誤報と偽情報」、長期的には「異常気象」を最大のリスクに挙げています。今後2年間に米国をはじめ主要国で選挙が相次ぐ中、「改ざんされた情報と社会不安の結び付きがリスクの中心になる」と指摘しています。生成AIを始めとする情報技術の進歩を味方につけることで、変わっていく環境に対応し続けていきたいと思います。