先日大リーグのイチローが日米通算で3000本安打の記録を達成しました。日本のプロ野球選手では3085本の張本勲さんについで2人目で、アメリカにはこれまで26人います。イチローはプロ野球選手になってから二軍で実績を上げていたにもかかわらず一軍の首脳陣とは意見があわず、2年間二軍生活を余儀なくされました。1994年に招聘された仰木監督がイチローの打撃センスを見抜いて一軍に起用し、その年にいきなり史上初の200本安打、首位打者などのタイトルを獲得しました。翌年の春に張本さんが「自分の記録を抜くのはお前だ」と言ってくれたことを3000本安打を達成したときのインタビューで明らかにしましたが、イチローはその言葉をずっと忘れずに、目標にして努力をしてきたということです。その日の試合で安打が打てたか打てなかったというような日々の結果ではなく、通年で200本以上の安打を打つというような中・長期の目標をクリアするために、ひとつひとつを積み上げる努力を実践し、それが大きな成果に結びついたのだと思います。
イチローはインタビューの中で「壁を作るのも自分、壁を乗り越えるのも自分」と言っていました。彼には次の大きな目標に向かうたくさんの壁が見えているのだと思います。是非大きな結果を残してほしいと思います。
仕事をする上でもお客様の状況次第で良かったり悪かったりしますが、最終的に積みあがって出てくる数字は、お客様に評価していただき、仕事をいただく結果の集まりです。日ごろからどのように客様の要求に応えていくか、実力をつけてそれを評価してもらうにはどうしたらよいかということを考えていなければなりません。会社もその場限りの数字を追いかけるのではなく、5年、10年先を見据えて数字や体制や仕事の内容をおさえていきたいと考えています。
これは皆さんのプライベートに関しても言えることだと思います。自分自身がどのような人間になりたいか、どういう生活をしていきたいかというイメージをもつことが重要です。その上で、一人ひとりが自分自身の壁をたくさん作り、乗り越える。つまり、毎日少しずつの努力を積み重ねることでより充実した人生を送っていけるのだと思います。
イチローに言葉をかけたのが張本ではなく他の誰かだったら、その言葉はおそらく胸に響かなかったと思います。やはり実際に数字を残した実績のある人の言葉だから重みがあったのです。職場の中にも上司、部下、友人などいろいろな関係がありますが、それぞれの環境のなかで皆に評価される社員であってほしいと思います。胸に響くような言葉を周りにかけてあげられるような、そんな職場環境ができたらよいと思っています。