2012年03月 震災その後

2012年03月 震災その後

 2 万人余りの死者、行方不明者を出した震災から一年が経ちました。復興の様子、原発の問題に関する報道を目にする機会が多くなりました。いくつか気になる話題がありましたので、自分たちの立場で理解しようと思います。
 まずは、2 月 28 日に福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)が発表した福島第一原発の災害対応に関する報告です。報告では様々な角度から、政府や東京電力の初動対応について言及しています。
 この中で大きく取り上げられていたのが、当時の菅首相の対応でした。報告によると「意思決定や情報収集における「トップダウン型」の特異な行動が、結果として「不信と介入のスパイラル(悪循環)」を招いたと指摘した。」とありました。危機的な状況下ですので当然迅速な対応が必要になると思います。しかし報告にあるような態度で菅首相が周囲に接していたとしたら、組織として機能不全に陥るのは当然です。報告での態度とは具体的に叱責、強く意見を主張するなどとありました。我々の日常でも、感情的になってしまう事もあるかもしれません。その際に感情を露わにし、周りの人を不快にすることは同様の弊害を招きます。また、怒りは自分の健康にもよくありません。万が一憤りを感じるようなことがあった場合でも感情的に周りに強く当たるのではなく、一呼吸置き冷静になるようにするべきだと考えます。
 がれきの処理に関しても多くの報道がありました。身近なニュースでは神奈川県の黒岩知事が 1 月30 日の横須賀で開催した「対話の広場」市民とのやり取りが記憶にあります。自分の地元に漠然と“東北のがれき受け入れる”と言われたことを想像する複雑な心境です。「復興は応援したいが、放射能は怖い。」というのが正直な気持ちだと思います。実際に共同通信社が 1400 ほどの自治体にアンケートを取った結果(2 月 17 日時点)でも「受け入れを決めている」のは 27 市町村(2%)で、「検討中」が127 市町村(9%)で残りの 9 割は「難しい」「考えていない」という回答でした。現在被災3県で発生したがれきは 2 月末時点で 6%ほどしか処理されておらず、当初の計画から処理が大幅に遅れており、がれき処理の助けが必要な状況です。先ほどの神奈川県の場合、受け入れを計画していたのは岩手県の宮古市のがれきです。宮古市は福島第一原発から 260 ㎞ほど離れています。東京駅が福島第一原発からと 220 ㎞ということを考えると報道にあるように、議論にもならず否定されるような計画ではないと思います。しかし、神奈川県の受け入れに関する報道を見ていても、対立の様子を報道するのみで、がれきに対する放射能の実際の影響まで踏み込んでいる報道は非常に少ないように思います。また、受け入れ地(横須賀)のみなさんの反応から想像すると、神奈川県の説明経緯も疑問があります。
 その結果、非常に単純で賛否を問うような感情的な対立となってしまっているように思います。しかし、がれきの処理に対しては我々が共通の問題意識を持たなければならず、そのために、報道、自治体の正確かつ効果的な働きかけを期待します。
 私たちの仕事においては限られた環境で問題意識や目標を共有して日々切磋しています。しかし、自分の立場に固執するあまり、ともすると「がれき」と同じような感情的な行き違いが発生する可能性があります。可能な限り正しい情報を皆さんにお伝えするよう心掛けていきたいと思います。