2012年09月 義務と権利

2012年09月 義務と権利

 去る6月26日に民主党、自民党、公明党の3党合意で消費増税が成立したのは記憶に新しいと思います。現在は一体改革のもう一つの柱である社会保障制度は棚上げされ、政局が混とんしている状況です。消費増税に関連して大和総研が家計への負担を試算した結果があります。試算によると、年収300万円(夫婦のうち一人に収入あり、子供二人)の世帯の場合、2016年には2011年に比べて24万9600円(年収の8.32%)の負担増になるそうです。消費税が5%増えることによる負担増は10万6700円で年収の3.5%です。消費税以外にも、復興増税などの税負担が6万2400円、社会保険料の負担が8万500円も増えます。
 社会保障に関してですが、2011年の社会保障給付金の支出は総額で107.8兆円でした。内訳は年金53.6兆円、医療33.6兆円、介護福祉20.6兆円になります。対する収入は、保険料が59.6兆円だけです。足りない分を積立金の運用と、国や地方の税金で賄っています。税金の負担は実に39.4兆円で40%にもなっています。
 社会保障を補う国の一般会計に関して言えば2011年度の決算は100兆円の歳出でした。対する歳入は税収が42.8兆円のみで、54兆円もの借金に頼っています。この一般会計から社会保障の不足分の大きな負担をしています。一時的であれば国債でまかなっても良いかも知れません。しかし財務省の推計によると、社会保障は2025年には151兆円になり、今後毎年3兆円ほどの支出が増えるとのことです。消費税を1%増やすと2兆円の税収が増えるそうなので、増加分を消費税でまかなうとすると毎年1.5%ずつ消費税を増税やす必要があるという事になります。
 我々の所得に対する税金、社会保障への負担という観点でいうと、負担率という指標があります。2012年度の負担率は39.9%ですが、潜在的には国債を含んで51.2%もの負担をしているとのことです。国債を解消するだけでも、所得に対して10%もの負担増が必要です。ヨーロッパでは60%~70%もの負担をしており、同等レベルの負担を強いるとなるとさらに10%以上の負担増となり。一連の負担増と同等以上の負担が再度必要という事になります。
 このように見てみますと我々の国民としての“義務”=負担はこれから大幅に増えざるを得ないという状況です。一方で負担を増やすばかりでなく“権利”=社会保障の支出を抑える必要もあると思います。社会保障の抑制に対して、社会保障に依存しないような生活面での備えが必要になります。また政治の世界で必然的に“義務”と“権利”のバランスの議論がなされると思います。マスコミを通じて耳触りのよいフレーズがたくさん流れてきますが、“義務”と“権利”という観点でしっかり見極め、来るべき投票という“権利”の行使に備えたいと考えています。