2月28日は最大2万円分のマイナポイントの対象となるマイナンバーカードの申請期限でした。駆け込み申請が殺到し板橋区役所では申請窓口の職員を増やして、臨時の窓口も設置して対応していました。2月27日までの1.5倍の体制としていましたが、午後には最大4時間待ちという事態になりました。このため尾身朝子総務副大臣が「本日来庁されたものの、本日中に申請できなかった人に限り、あす以降、市区町村において、28日中に申請が行われたものとして取り扱うよう、市区町村にお願いしております」と発表する事態となりました。オンラインの申請サイトにもアクセスが集中し「しばらくお待ちください」の表示が出るなど、一時パンクしました。オンライン申請についても、3月1日中に手続きが完了すれば、ポイント付与対象として認められることになりました。
「マイナポイント」第2弾は2022年6月にスタートしましたが、マイナンバーカードの申請期限は2022年9月末まで、マイナポイントの申込みは2023年2月末までの期限でしたが、申請期限が12月末、2月末と二度も延長され今回が本当の最終期限となりました。手間はかかりますが期間も十分あり、20,000円分ものマイナポイントが貰えるのに期限ギリギリまで何もしない人が多いことに驚いています。
マイナポイント第2弾、6月30日開始の時点で交付枚数率は45.3%、9月末で49.0%、12月末で57.1%、2月末で63.5%となっています。2月末時点で最も交付されているのは宮崎県の77.1%、最も少ないのは沖縄県の51.3%でした。
3月12日時点では約9500万枚、75.4%となりました。LINEのMAU(Monthly Active Users)は2022年6月末時点で9,200万人であることを考えると、最終的には非常に多くの人がマイナンバーカードを所有したことになります。
商品・サービスの普及に関する考え方に「ネットワーク効果」があります。電話が良い例で、電話を持つ人が少数の場合はあまり価値がありませんが、普及が進むに連れて価値が上がるようになります。電話以外にも、決済システム、オペレーティングシステム、SNSサービス、ECサイトなどが代表的な例になります。普及の早い順にイノベータ(2.5%)、アーリーアダプタ(13.5%)、アーリーマジョリティ(34%)、レイトマジョリティ(34%)、ラガード(16%)と分類されています。ラガードは新しいものにほとんど興味がなく、アプローチを行っても成果が出にくい傾向にあります。マイナポイント第二弾のスタート(2022年6月末)の時点でアーリーマジョリティまで普及していましたので、今回はレイトマジョリティへの働きかけがメインで、普及率を見ながら2度の延長を判断していたように思います。レイトマジョリティは新しいものを採用することに消極的ですので、多くの人がすでに採用していること(普及率)、採用していない人の方が少数派となっていること、採用してもデメリット・失敗がないことなどを訴えかけることが有効だそうです。
納期のある作業を行う際に、時間があればあるほど、実際に作業を開始する時期を遅らせてしまうという、心理的行動特性のことを「学生症候群」と言います。学生症候群という名は、イスラエルの物理学者であるゴールドラット博士が1997年に自身のプロジェクト管理に関する著書「Critical Chain」のなかで「期間が足りないと主張して提出期限を延ばしてもらったのに、すぐには宿題を始めない学生」になぞらえて説明したことに由来します。「Critical Chain」ではプロジェクト管理の問題原因として「学生症候群」の存在を指摘し、仕事は常に許される時間まで伸びてくるので、プロジェクト内の個々のタスクの見込み時間(期限)の余裕を無くし計画することで、プロジェクト全体の最適化をはかっています。駆け込み集中を避けるためには、設定された期限よりも自分自身の期限を手前に設定することで少しは改善できるかも知れません。