2023年06月 マイナンバー

2023年06月 マイナンバー

 2016年1月にマイナンバーカードの交付がスタートしましたが、2020年3月時点では交付率約15%と低迷が続いていました。政府は普及を加速しようとマイナポイントを付与するなどして2023年4月末時点で約70%まで交付されました。NHKでは「マイナンバーカードのトラブル」として(1)マイナ保険証に他人の情報が登録7312件、(2)コンビニで他人の証明書発行14件、(3)マイナポイントが他人に付与121件、(4)公金受取口座が別人のマイナンバーに登録家族13万件/他人748件、などとトラブルが相次いでいるとしています。マイナンバーカードに対する信頼が揺らいでいます。産経新聞とFNNが6月に実施した世論調査で内閣支持率が先月から4.3ポイント減の46.1%でした。「今年に入って回復傾向が続いたが、マイナンバーを巡る相次ぐ混乱などが影響している可能性がある」としています。マイナンバーカードの利用拡大に「不安を感じる」と回答した人は73.7%と多くを占めています。
 マイナンバーを導入する後押しとなったのが「消えた年金問題」でした。日本年金機構によりますと年金記録問題(消えた年金問題)では約5,095万件の持ち主不明の年金記録が判明しました。その後基礎年金と結びついたのは約2,961万件と現時点で2,000万件以上が不明のままです。記録の漏れのパターンは次の3つが9割を占めているそうです。転職が多い人では若い頃に勤めていた記録、結婚などで姓が変わった人では結婚前の旧姓の記録、名前の読み方が色々ある人は読み方が間違って登録された記録などが原因だったとのことです。消えた年金問題は累積された件数とはいえ、桁違いに多く「年金定期便」の送付での確認や「年金ネット」などの導入などで防止に努めているようです。しかし、事務作業が入ると一定の確率でトラブルが発生してしまいます。
 今回のトラブルの原因は(1)健康保険を運営する組合による、加入者情報の入力ミス、(2)システム連携のバグ、(3)ログアウトしなかったので前の人の情報を登録した、(4)公金受取口座が別人のマイナンバーに登録された件では家族間は周知、理解不足、他人間は(3)と同様、とのことです。
 (2)以外は登録に関わるトラブルなので今後は新規登録と変更時以外はほぼ発生しないはずです。(3)はマニュアルにはログアウトするよう記載されていたようですが、徹底されていなかったためのようです。他人が次々に同一PCで登録を行う想定をしていなかったはずです。これを自治体がサービスとして運用で対応してしまったことが原因だったと想像しています。(4)の家族の口座登録に関してはQAには記載していたようですが、想定外の登録となりトラブルになりました。(3)(4)に関してはマニュアルやQAに記載していましたが運用を完璧には徹底できなかったためトラブルに繋がりました。本来であればシステム側でこれらの運用(ミス)を想定した設計にする必要がありますが、マイナンバーに関しては法律などの制度、準備期間など制約が多いので理想的な形で設計、運用するのは容易ではないと思います。普段使用していてもスマートではない仕組みだと感じることがあります。トラブルなので否定的な報道が多くなってしまうのはやむを得ないかも知れません。人が関わる際にはトラブルを皆無にするのは容易では有りません。システム化や各種サービスとの連携が進むことで今まで以上に利便性の高い仕組みが実現できるよう期待しています。当社もデータ入力、事務運用、システム開発と重なるところがありますので反面教師として学んでいきたいと思います。