2024年11月 アメリカ大統領選挙

2024年11月 アメリカ大統領選挙

 11月5日火曜日にアメリカの大統領選挙が行われ、激戦州7州をすべて制したトランプ元大統領が大統領に返り咲くことが決まりました。大統領選挙の投票日は4年に一度、11月の第一月曜日の次の火曜日に実施すると1845年に連邦法で決められています。農業が忙しい時期を避けるため、11月に決められました。キリスト教の日曜日の礼拝があるのと、交通機関が発達していなかったため、離れた投票所への移動を考慮して火曜日に設定されたそうです。第一回の大統領選挙は1789年に実施され初代大統領にジョージ・ワシントンが選ばれました。二回目は1792年に実施され、以降今回の60回目まで4年ごとに実施されてきました。大統領と同時に副大統領も選出されます。大統領の任期は4年です。任期中に大統領が死亡・辞任・免職などにより欠けた場合には副大統領が大統領に昇格します。1974年のウォーターゲート事件でのニクソン大統領辞任、1963年のケネディ大統領暗殺など過去9回副大統領の昇任がありました。
 日本にも「内閣総理大臣臨時代理」という役職が決められています。内閣総理大臣臨時代理は内閣の組閣時に正式に指定します。継承は第一順位から第五順位まで決められています。第一位はとくに「副総理」と言われます。「副総裁」は自民党内の役職で、石破総裁のときには菅元首相が副総裁を務めています。石破内閣では林官房長官が第一位(副総理)に指名されています。2023年2月には岸田首相が全身麻酔をともなう手術を受けたため当時の松野博一官房長官が一日、2000年4月には小渕恵三首相が脳梗塞に倒れたため青木幹雄官房長官が2日間内閣総理大臣臨時代理を務めました。現憲法下ではこれ以外に2回、計4回の臨時代理がありました。
 今回の大統領選挙に関しては事前のメディアの予測では、NBCニュースが2024年11月に実施した世論調査ではトランプ氏とハリス氏の支持率が同率49%となっていました。ニューヨーク・タイムズの投票日直前の世論調査ではトランプ氏の支持率が48%、ハリス氏の支持率が49%でわずかにハリス氏有利の情勢とされていました。トランプ氏は討論会で「犬や猫を移民が食べている」と言ったり、イスラエルがイランへの反撃で軍事施設をミサイル攻撃した際には「核施設を攻撃すべき」というなど過激な発言が目立ちます。熱狂的なトランプ支持者であれば表立って支持し応援出来ると思いますが、トランプ支持を表立って表すのは勇気がいるようです。このような「隠れトランプ」が結構な割合いたのが、調査との乖離が生じた理由の一つのようです。米国の新興ニュースサイト「アクシオス」がハリス世論調査会社(副大統領とは無関係)に委託して調査した結果では、有権者の約4分の1、最若年層の約半数が「誰に投票するか」を問われれば「ウソをつく」と回答しています。これは、「スマートフォンで育った若いアメリカ人は、政治的な交流や、仕事などの日常的な場面でも、対立を避ける傾向があるそうです。
 1982年のカリフォルニア知事選挙に立候補した黒人のトム・ブラッドリー氏は、世論調査では大差で白人の対立候補をリードしていましたが、実際の選挙では白人候補に敗退しました。これ以来、黒人候補は世論調査で支持率が高めに出ることを「ブラッドリー効果」と呼ぶようになったそうです。今回も世論調査には黒人で女性のハリス氏を支持する建前が出たことも原因の一つのようです。大統領選挙の賭けサイト「ForecastEx」でのトランプ氏の勝利確率は5日の投票締め切り数時間前で約62%でした。他の賭けサイトも概ね同様の比率の様でした。
 先日の兵庫県知事選挙でもSNSを駆使した斉藤前知事が逆転当選を果たしました。テレビ、新聞などのオールドメディアに対する信頼性、影響力の低下が要因の一つと言われています。SNSはエコーチェンバー現象で自分に都合の近い価値観の情報にさらされ、自分の意見が一般的であると信じてしまう傾向があります。異なる価値観の情報にも触れることで、より良い判断が出来るようにしていきたいと思います。